ラプラス変換の存在定理

関数 \( f(t) \) が次式を満たすとき, 関数 \( f(t) \) のことを指数 \( \alpha \) 位の関数という \[\abs{f(t) } \le M e^{\alpha t} \quad \qty( M > 0 ) \notag\]

区分的に連続な関数 \( f(t) \) が指数 \( \alpha \) 位の関数であるとき, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \alpha \) を満たす領域 \( s \) においてラプラス変換が存在する.

区分的に連続な関数 \( f(t) \) のラプラス変換が \( s=s_{0} \) で存在するとき, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) を満たす任意の \( s \) に対してラプラス変換が存在する.

ラプラス変換の定義では, 広義積分を用いてラプラス変換の定義を与えた. しかし, ラプラス変換がどのようなときに存在するかの議論には深く踏み込まなかった.

ラプラス変換はその定義からも明らかなように, 極限を用いて定義される. このため, ラプラス変換の諸性質を与えるにしても, 議論対象となっている関数に対してラプラス変換が存在しているかどうかは常に注意を払っておく必要がある[1]例えば, 数学でも学ぶように, 数列 \( a_{n} \) と数列 \( b_{b} \) について, \[\lim_{n \to \infty} \qty( a_{n} + b_{n} ) = \lim_{n \to \infty} a_{n} + \lim_{n \to \infty} b_{n} … Continue reading[2]ただ, (物理屋さんや工学屋さんにとっては)幸いなことに, 物理や工学で扱うことになる問題の多くでは数学的に扱いやすいような(今の場合, … Continue reading.

このような問題意識から関数 \( f(t) \) のラプラス変換 \( F(s) \) の定義式 \[F(s) = \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t} \notag\] を眺めてみると, どのような関数 \( f(t) \) であれば(発散せずに)意味のある \( F(s) \) を得ることができるのかや, \( F(s) \) は複素数 \( s \) の関数であるが, この \( s \) のどのような範囲で定義される関数であるのかといった疑問を持つことができる.

以下ではまず, ラプラス変換が存在する関数の十分条件について示す. この性質はラプラス変換の諸定理の適用条件にも頻繁に登場するため, その主張内容は把握しておいてほしい. ただし, この定理の証明には幾分高級な議論が必要になるため, それらの証明は後半に回して興味がある読者のためにとっておくこととする.


ラプラス変換の存在定理

指数 \( \alpha \) 位の関数

関数 \( f(t) \) が正の定数 \( M > 0 \) を用いて \[\abs{f(t) } \le M e^{\alpha t} \notag\] を満たすとき, 関数 \( f(t) \) のことを指数 \( \alpha \) 位の関数という[3]このような, 解析学的な関数の区分に疎い人にとっては, 正の定数 \( M \) がなんなのかが気になってしまう人もいるであろう. … Continue reading.

ラプラス変換の存在定理

ラプラス変換が存在することの十分条件として, 区間 \( [ 0 , \infty ) \) で定義された区分的に連続な関数 \( f(t) \) が指数 \( \alpha \) 位の関数であるとき, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \alpha \) を満たす領域 \( s \) においてラプラス変換 \( F(s) = \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} \) が存在する. という定理が存在する. この結論については十分把握しておいてほしいので少し丁寧に補足しておこう.

まず, 区間 \( [ 0 , \infty ) \) で定義された区分的に連続な関数 \( f(t) \) が指数 \( \alpha \) 位の関数であるとは, 議論の対象となっている区分的に連続な関数 \( f(t) \) が \[\abs{f(t) } \le M e^{\alpha t} \ \to \ – M e^{\alpha t} \le f(t) \le M e^{\alpha t} \quad \qty( M > 0 ) \notag\] を満たし, 次図のように \( \pm M e^{\alpha t} \) で挟まれた領域に存在することを意味する. このため, 関数 \( f(t) \) は指数関数 \( e^{\alpha t} \) よりも発散傾向が小さいことを意味している.

そのうえで, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \alpha \) を満たすような \( s \) を用いてラプラス変換の計算を行うと, \( f(t) \) の発散傾向を上回る収束傾向を持つ関数 \( e^{-st} \) を乗じていることになる. つまり, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \alpha \) という条件はラプラス変換の被積分関数を収束に向かわせるための条件ということができる.

上記の定理の証明は後半に行うが, この結果だけでも頭に留めておいてほしい.

ラプラス変換の収束性と収束座標

ラプラス変換の存在について, 次の定理が成立する.

\( t \ge 0 \) で定義された区分的に連続な関数 \( f(t) \) について, \( f(t) \) のラプラス変換 \[F(s) = \mathcal{L} \left\{f (t) \right\} = \int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t) \dd{t} \notag\] が複素数 \( s=s_{0} \) で収束値 \( F\qty( s_{0} ) \) を持つものとする. このとき, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) を満たす任意の \( s \) に対してラプラス変換 \( F(s) \) が存在する

この定理からも分かるように, ある点 \( s_{1} \) においてラプラス変換が存在しない場合, \( \mathrm{Re}\qty[ s_{1} ] > \mathrm{Re}\qty[ s ] \) を満たす \( s \) に対してはラプラス変換が存在しないことになる.

したがって, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > c \) を満たす \( s \) に対してはラプラス変換が存在し, \( c > \mathrm{Re}\qty[ s ] \) を満たす \( s \) に対してはラプラス変換が存在しないという実数 \( c \) を考えることが可能となる. この \( c \) は, ラプラス変換が存在する領域とラプラス変換が存在しない領域とのとなっており, 収束座標という.

上記の定理の証明も後半に行うが, この結果だけでも頭に留めておいてほしい.

複素数の性質の復習

複素数 \( s \) と実数 \( t \) の積を指数に持つ \( e^{-st} \) について考える. ただし, 複素数 \( s \) の実部は \( \mathrm{Re}\qty[ s ] \) , 虚部は \( \mathrm{Im}\qty[ s ] \) である. \[s = \mathrm{Re}\qty[ s ] + i \mathrm{Im}\qty[ s ] \quad . \notag\] このとき, \( e^{-st} \) の絶対値は次式のように表すことができる. \[\abs{e^{-st} } = \abs{e^{ – \qty( \mathrm{Re}\qty[ s ] + i \mathrm{Im}\qty[ s ] ) t } } = \abs{e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ] t } } \abs{e^{-i \mathrm{Im}\qty[ s ] t } \label{emstabsub} }\] である. ここで, 指数関数 \( e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ] t } \) について, 常に \( e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ] t } > 0 \) が成立するため, 次式が成立する. \[\abs{e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ] t } } = e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ] t } \quad . \label{emstabsub1}\] また, \( \theta \) を実数としたときに成立するオイラーの公式 \[e^{i \theta} = \cos{\theta} + i \sin{\theta} \notag\] を用いると, \( e^{i \theta} \) の絶対値は \[\abs{e^{i \theta} } = \abs{\cos{\theta} + i \sin{\theta} } = \sqrt{\cos[2]{\theta} + \sin[2]{\theta}} = 1\notag\] となる. これにより, \[\abs{e^{-i \mathrm{Im}\qty[ s ] t } } = 1 \label{emstabsub2}\] が即座に導かれる.

以上で得られた式\eqref{emstabsub}及び式\eqref{emstabsub1}を式\eqref{emstabsub2}に適用することで次式を得る. \[\abs{e^{-st} } = e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ] t} \quad . \label{emstab}\]

広義積分の収束判定法(優関数の定理)

ある関数 \( f(t) \) の広義積分が収束するか, 発散するのかを判定することは数学的に重要な興味である. この判定を行うための手法の一つを紹介しておこう[4]なお, この証明は省略し, その結果だけを紹介するので, 興味がある人は優関数の定理などを調べてみてほしい.

ある関数 \( f(t) \) に対し, 積分区間 \( [ a , b ) \) において常に \( \abs{f(t) } \le g(t) \) を満たすような関数 \( g(t) \) の広義積分 \( \displaystyle{\int_{a}^{b} g(t) \dd{t}} \) が収束するのであれば, \( \displaystyle{\int_{a}^{b} f(t) \dd{t}} \) も収束する.

上記の手法が判定法と呼ばれるのは, \( \displaystyle{\int_{a}^{b} f(t) \dd{t}} \) の値を具体的に求めることが出来なくとも, 収束するのかどうかだけを知ることができるからである.

ラプラス変換では, 多数の広義積分を扱うことになるうえ, ラプラス変換が存在するという条件が各種の定理についてまわることになる. そのため, このような判定方法を知っておくことは, これから行おうとする計算にラプラス変換の各種の定理を用いてよいかどうかの判断材料を増やすことにつながる.

ラプラス変換の存在定理の証明

区間 \( [ 0 , \infty ) \) で定義された区分的に連続な関数 \( f(t) \) について, ある定数 \( M \ \qty( > 0 ) \) と \( \alpha \) に対して \[\abs{f(t) } \le M e^{\alpha x } \label{classalphaproof}\] が存在するとき, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \alpha \) において, ラプラス変換 \( F(s) = \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} \) が存在する.ことを証明しよう.

関数 \( f(t) \) のラプラス変換に対して, 次の不等式が成立する. \[\begin{aligned} \abs{F(s) } &= \abs{\int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t} } \notag \\ & \le \int_{0}^{\infty} \abs{e^{-st} } \cdot \abs{f(t) } \dd{t} \notag \end{aligned}\] ここで, 式\eqref{emstab}及び式\eqref{classalphaproof} \[\abs{e^{-st} } = e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s ]t} \ , \quad \abs{f(t) } \le M e^{\alpha x } \notag\] を適用することで, \[\begin{aligned} \abs{F(s) } & \le \int_{0}^{\infty} e^{ – \mathrm{Re} \qty[ s ] t} M e^{\alpha t } \dd{t} \notag \\ &= M \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( \mathrm{Re} \qty[ s ] – \alpha )t} \dd{t} \notag \end{aligned}\] となる. ここで, \[\mathrm{Re}\qty[ s ] – \alpha > 0 \ \iff \mathrm{Re}\qty[ s ] > \alpha \notag\] を満たす場合には \[\begin{aligned} \abs{F(s) } & \le M \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( \mathrm{Re} \qty[ s ] – \alpha )t} \dd{t} \notag \\ & = \qty[ – \frac{M}{\mathrm{Re}\qty[ s ] – \alpha } e^{ – \qty( \mathrm{Re}\qty[ s ] – \alpha ) t } ]_{0}^{\infty} \notag \\ & = \frac{M}{\mathrm{Re}\qty[ s ] – \alpha } \notag \end{aligned}\] となり, 最右辺が発散せずにある有限値に収束することが示されたため, 広義積分の収束判定法により \( F(s) \) が収束することが示された.

ラプラス変換の収束性の証明

\( t \ge 0 \) で定義された区分的に連続な関数 \( f(t) \) について, \( f(t) \) のラプラス変換 \[F(s) = \mathcal{L} \left\{f (t) \right\} = \int_{0}^{\infty}e^{-st}f(t) \dd{t} \notag\] が複素数 \( s=s_{0} \) で収束値 \( F\qty( s_{0} ) \) を持つものとする. このとき, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) を満たす任意の \( s \) に対してラプラス変換 \( F(s) \) が存在することを示そう.

以下では, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) を満たすような複素数 \( s \) について議論する.

ラプラス変換の定義を式変形すると, \[\begin{aligned} F(s) &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t} \notag \\ &= \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t} e^{-s_{0}t } f(t) \dd{t} \notag \end{aligned}\] となる. ここで, \[g(t) \coloneqq \int_{0}^{t}e^{-s_{0}x}f(x) \dd{x} \notag\] と定義すると, 微分積分学の基本定理より, \[\dv{g(t)}{t} = \dv{t} \int_{0}^{t}e^{-s_{0}x}f(x) \dd{x} = e^{-s_{0}t}f(t) \notag\] であるため, \[\begin{align} \int_{0}^{\infty}e^{-st} f(t) \dd{t} &= \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } \dv{g(t)}{t} \dd{t}\notag \\ &= \qty[ e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } g(t) ]_{0}^{\infty} – \int_{0}^{\infty} \dv{t} \left\{e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } \right\} g(t) \dd{t} \notag \\ &= \qty[ e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } g(t) ]_{0}^{\infty} + \qty( s – s_{0} ) \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } g(t) \dd{t} \notag \\ &= \lim_{T \to \infty }e^{ – \qty( s – s_{0} ) T } g(T) – \underbrace{e^{ – \qty( s – s_{0} ) 0 } g(0) }_{=0 \ \because \ g(0)=0 } + \qty( s – s_{0} ) \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } g(t) \dd{t} \notag \\ &= \lim_{T \to \infty } e^{ – \qty( s – s_{0} ) T } g(T) + \qty( s – s_{0} ) \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } g(t) \dd{t} \label{ss0proofsub} \end{align}\] あとはこの式\eqref{ss0proofsub}の各項の収束性について調べればよい. そして, 実際に式\eqref{ss0proofsub}の各項は収束することから, \( \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) を満たす任意の \( s \) に対してラプラス変換 \( F(s) \) が存在することが示された.

式\eqref{ss0proofsub}の第1項について

式\eqref{ss0proofsub}の第1項の極限 \[\lim_{T \to \infty } e^{ – \qty( s – s_{0} ) T } g(T) = \lim_{T \to \infty } e^{ – \qty( s – s_{0} ) T } \int_{0}^{T} e^{-s_{0}x} f(x) \dd{x} \notag\] について, \[\begin{aligned} \lim_{T \to \infty } \abs{e^{ – \qty( s – s_{0} ) T } } &= \lim_{T \to \infty } e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s – s_{0} ] T } \notag \\ &= 0 \quad \qty( \because \ \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] ) \notag \end{aligned}\] であり, \( \displaystyle{\int_{0}^{T} e^{-s_{0}x} f(x) \dd{x} } \) は \( \displaystyle{\int_{0}^{\infty} e^{-s_{0}x} f(x) \dd{x} } \) が有限の収束値を持つことから, \[\begin{aligned} \lim_{T \to \infty } \abs{e^{ – \qty( s – s_{0} ) T } g(T) } &= \lim_{T \to \infty } e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s – s_{0} ] T } \abs{g(T) } \notag \\ &= 0 \quad . \quad \qty( \because \ \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] ) \notag \end{aligned}\]

式\eqref{ss0proofsub}の第2項について

式\eqref{ss0proofsub}の第2項 \[\qty( s – s_{0} ) \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } g(t) \dd{t} = \qty( s – s_{0} ) \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } \int_{0}^{t} f(x)e^{-s_{0}x} \dd{x} \dd{t} \notag\] について, \( t \) が十分に大きいときにも \( \abs{\int_{0}^{t} f(x)e^{-s_{0}x} \dd{x} } \) は有限であるので, \[\abs{\int_{0}^{t} f(x)e^{-s_{0}x} \dd{x} } \le M \notag\] を満たすようなある正の定数 \( M \) が存在する. したがって, \[\begin{aligned} \abs{\int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s – s_{0} ) t } \int_{0}^{t} f(x)e^{-s_{0}x} \dd{x} \dd{t} } &\le \int_{0}^{\infty} e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s – s_{0} ] t } \cdot \abs{\int_{0}^{t} f(x)e^{-s_{0}x} \dd{x} } \dd{t} \notag \\ &\le M \int_{0}^{\infty} e^{ – \mathrm{Re}\qty[ s – s_{0} ] t } \dd{t} \notag \\ &= \frac{M}{\mathrm{Re}\qty[ s – s_{0} ]} \quad . \quad \qty( \because \ \mathrm{Re}\qty[ s ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] ) \notag \end{aligned}\] となり, 最右辺が発散せずにある有限値に収束することが示されたため, 広義積分の収束判定法により式\eqref{ss0proofsub}の第2項が収束することが示された.

脚注

脚注
1 例えば, 数学でも学ぶように, 数列 \( a_{n} \) と数列 \( b_{b} \) について, \[\lim_{n \to \infty} \qty( a_{n} + b_{n} ) = \lim_{n \to \infty} a_{n} + \lim_{n \to \infty} b_{n} \notag\] という線形法則を満たすためには, \( \displaystyle{\lim_{n \to \infty} a_{n} } \) と \( \displaystyle{\lim_{n \to \infty} b_{n} } \) の両方が存在するという大前提があってのことであった. このように, 極限という操作が絡んできた場合にはとくに, 議論対象となっている数列なり関数なりが存在しているかどうかは重要な問題となってくる.
2 ただ, (物理屋さんや工学屋さんにとっては)幸いなことに, 物理や工学で扱うことになる問題の多くでは数学的に扱いやすいような(今の場合, ラプラス変換が存在するような)関数について議論することがほとんどである.
3 このような, 解析学的な関数の区分に疎い人にとっては, 正の定数 \( M \) がなんなのかが気になってしまう人もいるであろう. ここで議論したいのはある \( t \) における関数の大きさというよりは \( t \) の変化に伴う発散の傾向であると考えてくれれば, \( M \) という数が関数の区分に登場していないことに納得してくれるであろう
4 なお, この証明は省略し, その結果だけを紹介するので, 興味がある人は優関数の定理などを調べてみてほしい