ラプラス変換の定義

ラプラス変換の定義

区間 \( 0 \le t < \infty \) で定義された関数 \( f(t) \) に対して, 次の広義積分 \[\int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t} \notag = \lim_{\substack{T \to \infty \\ \epsilon \to +0}} \int_{\epsilon}^{T} e^{-st} f(t) \dd{t} \notag\] が有限の値を持つとき, これを関数 \( f(t) \) のラプラス変換という. ここで, \( s \) は一般には複素数である.

関数 \( f(t) \) のラプラス変換は \( s \) の値によって様々異なる値となることから, \( s \) を変数とした \( 1 \) 変数関数と考えられる. そこで, \( f(t) \) のラプラス変換を \( F(s) \) と書き, \[F(s) \coloneqq \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t} \] で定義する. なお, \( F(s) \) の定義域が何であるのかはラプラス変換前の関数 \( f(t) \) に依存することをのちに述べる.

…どうであろう. ラプラス変換の定義を端的に示すところから初めたが, 変数 \( s \) は一体何なのか, どうしてこんな量を定義して議論を始めようと思った奴がいるのかなど, 様々な疑問が湧くことであろう. ラプラス変換とはでも述べた通り, このあたりの掘り下げはぐっとこらえて少し先に進んでいただきたい.

区分的に連続な関数

ラプラス変換を適用する関数 \( f(t) \) は区分的に連続であるという条件を満たすものに限定することにする. ここでは, 区分的に連続であるという言葉の意味を紹介しておこう.

まず, 任意の数 \( T \) が \( 0<T<\infty \) であるとする. そして, 関数 \( f(t) \) が \( 0 \le t \le T \) において高々有限個の点を除いて連続であり, その除外点では \( f(t) \) の右側極限と左側極限が存在し, かつ有限な値であるという条件である[1]ここで, 右側極限と左側極限とは一致している必要はないことに注意してほしい..

下図には区分的に連続な関数の例を示す.

上図に示した関数は, いくつかの不連続点を持っている. そして, その不連続点を除く区間では連続関数となっており, 各不連続点には右側極限と左側極限の両方が存在しており, 区分的に連続な関数となっている[2]区分的に連続でない関数としては, \( f(t)=\frac{1}{t-1} \) などを考えることができる.この関数は \( \displaystyle{\lim_{t \to 1+0}f(t) = + \infty } \) であり, \( … Continue reading

不連続関数に対するラプラス変換

関数 \( f(t) \) が \( t_{i} \ \qty( i = 1, 2, \cdots ) \) において不連続な点を持つ, 区分的に連続な関数であるとしよう.

このとき, \( f(t) \) のラプラス変換は広義積分を用いて \[\begin{aligned} \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t}\notag \\ &= \int_{0}^{t_{1}} e^{-st} f(t) \dd{t}+ \int_{t_{1}}^{t_{2}} e^{-st} f(t) \dd{t}+ \cdots \notag \end{aligned}\] といった具合に, 各区間での広義積分を計算することによって求めることが可能となる.

これは, ラプラス変換が不連続な関数や微分不可能な関数であっても計算できることを示唆しており, ラプラス変換の有用性の一つとなっている.

ラプラス変換にまつわる用語の定義

原関数及び像関数

既に述べた通り, \( t \) の関数 \( f(t) \) のラプラス変換 \( \mathcal{L}(f)=F(s) \) は, もはや \( t \) の関数ではなく, 新しい変数 \( s \) によって決定される関数となっている. ここで, \( f(t) \) のことを原関数と呼び, \( F(s) \) のことを \( f(t) \) の像関数という.

したがって, ラプラス変換とは与えられた原関数 \( f(t) \) から像関数 \( F(s) \) を求める操作ということができる. 一方で, 逆ラプラス変換と呼ばれる変換についても考えることができる. そして, 逆ラプラス変換は与えられた像関数 \( F(s) \) から原関数 \( f(t) \) を求める操作となる. この逆ラプラス変換については別途詳しく述べることとする.

収束座標

一般に, ラプラス変換が存在するような \( s \) の値の範囲のことをラプラス変換の収束域といい, 収束域とラプラス変換が存在しない \( s \) の領域との境界の値のことを収束座標という.

脚注

脚注
1 ここで, 右側極限と左側極限とは一致している必要はないことに注意してほしい.
2 区分的に連続でない関数としては, \( f(t)=\frac{1}{t-1} \) などを考えることができる.この関数は \( \displaystyle{\lim_{t \to 1+0}f(t) = + \infty } \) であり, \( \displaystyle{\lim_{t \to 1-0}f(t) = – \infty } \) であり, 不連続な点における右側極限と左側極限が有限な値に収まらないためである.