一様分布

連続型確率変数が従う確率分布の代表例として一様分布が知られている.

一様分布とは, 確率の分布がある区間内で一定であり, それ以外の領域では \( 0 \) となるようなものをいう.

すなわち, 確率密度関数 \( f(x) \) が \( b \le x < b+a \) の範囲内においてが定数であり, それ以外の領域ではゼロで与えられ, その関数の基本形は \[f(x)= \begin{cases} \mathrm{const.} & (b \le x < b+a) \\ 0 & (x < b , b+a \le x) \end{cases} \notag \] のように与えられる.

一様分布の規格化

確率密度関数 \( f(x) \) の \( b \le x < b+a \) の範囲内における確率変数を定数 \( N \) としよう.

この定数 \( N \) は確率密度関数 \( f(x) \) が満たすべき性質 \[\int_{ – \infty}^{\infty} f(x) \dd{x} =1 \label{pc_nat}\] から定めることができる. この条件を規格化条件といい, 確率密度関数 \( f(x) \) のグラフと \( x \) 軸とで囲まれる面積が \( 1 \) になることに等しい.

いま, \[f(x)= \begin{cases} N & (b \le x < b+a) \\ 0 & (x < b , b+a \le x) \end{cases} \notag \] を式\eqref{pc_nat}に代入すると, \[\begin{aligned} \int_{ – \infty}^{\infty} f(x) \dd{x} &= \int_{ – \infty}^{b} f(x) \dd{x} + \int_{b}^{b+a} f(x) \dd{x} + \int_{a}^{\infty} f(x) \dd{x} \\ &= \int_{ – \infty}^{b} 0 \dd{x} + \int_{b}^{b+a} N \dd{x} + \int_{a}^{\infty} 0 \dd{x} \\ &= \qty[ Nx ]_{b}^{b+a} \\ &= Na = 1 \end{aligned}\] したがって, \[N=\frac{1}{a} \notag \] とすることで, 規格化条件の式\eqref{pc_nat}を満たすことができる.

結局, 規格化された一様分布の確率密度関数は次式で与えられることになる. \[f(x)= \begin{cases} \displaystyle{\frac{1}{a}} & (b \le x < b+a) \\ 0 & (x < b , b+a \le x) \end{cases} \notag \]

一様分布の期待値

一様分布 \[f(x)= \begin{cases} \displaystyle{\frac{1}{a} } & (b \le x < b+a) \\ 0 & (x < b , b+a \le x) \end{cases} \notag \] の期待値 \( E(X) \) は \[E(X) = b + \frac{a}{2} \notag \] であることはほぼ自明であるが, 期待値の定義式 \[ E(X) = \int_{ – \infty}^{\infty} x\,f(x) \dd{x} \notag \] に代入することで求めてみよう. \[\begin{aligned} E(X) &= \int_{ – \infty}^{\infty} x\,f(x) \dd{x} \\ &= \int_{b}^{b+a} x \frac{1}{a} \dd{x} \\ &= \qty[ \frac{x^2}{2a} ]_{b}^{b+a} \\ &= \frac{2ab + a^2}{2a} \\ \therefore \ E(X)&= b + \frac{a}{2}\end{aligned}\] たしかに, 当初の予想通りの結論をえることができた.

一様分布の分散, 標準偏差

一様分布の分散 \( V(X) \) は期待値 \( \mu \) を用いて次式で定義される. \[V(X) = \int_{ – \infty}^{\infty} \qty( x – \mu )^2f(x) \dd{x} \notag \] これを具体的に計算すると, \[\begin{aligned} V(X) &= \int_{ – \infty}^{\infty} \qty( x – \mu )^2 f(x) \dd{x} \\ &= \int_{b}^{b+a} \qty( x – \qty( b + \frac{a}{2} ) )^2 \frac{1}{a} \dd{x} \\ &= \frac{1}{3a} \qty[ \qty( x – b – \frac{a}{2} )^3 ]_{b}^{b+a} \\ &= \frac{a^2}{12}\end{aligned}\] であることがわかる.

標準偏差 \( \sigma \) は分散の平方根で定義されるので, \[\sigma = \sqrt{V(X)} = \frac{a}{\sqrt{12}} \notag \] となる.

一様分布

次式のような規格化された確率密度関数 \( f(x) \) に従う確率変数がつくる分布を一様分布という. \[f(x)= \begin{cases} \displaystyle{\frac{1}{a}} & (b \le x < b+a) \\ 0 & (x < b , b+a \le x) \end{cases} \notag \]

一様分布の期待値 \( E \) , 分散 \( V \) , 標準偏差 \( \sigma \) はそれぞれ次のように与えられる. \[ \begin{aligned} E(X) &= b + \frac{a}{2} \\ V(X) &=\frac{a^2}{12} \\ \sigma &= \frac{a}{\sqrt{12}} \end{aligned} \]