ラプラス変換の線形法則, 相似法則, (第一)移動法則

関数 \( f(t) \) のラプラス変換 \( F(s) = \mathcal{L}\left\{f(t)\right\} \) の定義 \[F(s) = \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} = \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t} \notag\] から導かれる, ラプラス変換の基本的な性質とその証明について議論しよう.

ラプラス変換の線形法則

\( a \) , \( b \) を定数とし, \( f(t) \) と \( g(t) \) を \( t \) の関数とする. このとき, \( f(t) \) のラプラス変換 \( \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} \) と \( g(t) \) のラプラス変換 \( \mathcal{L}\left\{g(t) \right\} \) の両方が存在するとき, 次式が成立することをラプラス変換の線形法則という. \[\mathcal{L}\left\{af(t) + bg(t) \right\} = a \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} + b \mathcal{L}\left\{g(t) \right\} \quad . \label{LapBPLinear}\]

証明

式\eqref{LapBPLinear}は, ラプラス変換の定義からただちに導くことができる. \[\begin{aligned} \mathcal{L}\left\{af(t) + bg(t) \right\} &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} \left\{a f(t) + b g(t) \right\} \dd{t}\notag \\ &= a \int_{0}^{\infty} e^{-st} f(t) \dd{t}+ b \int_{0}^{\infty} e^{-st} g(t) \dd{t}\notag \\ &= a \mathcal{L}\left\{f(t)\right\} + b \mathcal{L}\left\{g(t)\right\} \quad . \notag \end{aligned}\]

ラプラス変換の相似法則

\( a \) を定数とし, 関数 \( f(t) \) のラプラス変換を \( F(s) \) とする. このとき, 関数 \( f(at) \) のラプラス変換は次式で与えられ, ラプラス変換の相似法則という. \[\mathcal{L}\left\{f\qty( a t ) \right\} = \frac{1}{a}F\qty( \frac{s}{a} ) \quad . \label{LapBPScale}\]

証明

式\eqref{LapBPScale}は, ラプラス変換の定義からただちに導くことができる.

ラプラス変換の定義より, \[\mathcal{L}\left\{f\qty( a t ) \right\} = \int_{0}^{\infty} e^{-st} f\qty( at ) \dd{t}\notag\] であり, \( x=at \) として置換積分を行うと, \(\dd{x}= a \dd{t} \) より, \[\begin{aligned} \mathcal{L}\left\{f\qty( a t ) \right\} &= \int_{0}^{\infty} e^{-s\frac{x}{a}} f\qty( x ) \frac{1}{a}\dd{x}\notag \\ &= \frac{1}{a} \int_{0}^{\infty} e^{ – \frac{s}{a} x } f\qty( x ) \dd{x}\notag \end{aligned}\] ここで, \( \displaystyle{\int_{0}^{\infty} e^{ – \frac{s}{a} x } f\qty( x ) \dd{x}}\) はラプラス変換 \( F(s) \) に対して \( s \to \frac{s}{a} \) という置き換えを行なったものに他ならず, 次式が得られる. \[\begin{aligned} \mathcal{L}\left\{f\qty( a t ) \right\} &= \frac{1}{a} \int_{0}^{\infty} e^{ – \frac{s}{a} x } f\qty( x ) \dd{x}\notag \\ &= \frac{1}{a}F\qty( \frac{s}{a} ) \quad . \notag \end{aligned}\]

ラプラス変換の(第一)移動法則

関数 \( f(t) \) のラプラス変換を \( F(s) = \mathcal{L}\left\{f(t) \right\} \) とする. このとき, \( f(t) \) に \( e^{at} \) を乗じた関数のラプラス変換は次式で与えられ, ラプラス変換の(第一)移動法則という. \[\mathcal{L}\left\{e^{at} f(t) \right\} = F\qty( s-a ) \label{LapBPShist1}\] ただし, ラプラス変換 \( F(s) \) が \( \mathrm{Re}\qty[ s ]>\mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) の領域で定義される場合, \( F(s-a) \) は \( \mathrm{Re}\qty[ s-a ] > \mathrm{Re}\qty[ s_{0} ] \) を満たすような領域で存在することに注意すること.

式\eqref{LapBPShist1}は, 原関数 \( f(t) \) に指数関数 \( e^{at} \) を乗じることが像関数 \( F(s) \) を \( a \) だけ平行移動させた像関数 \( F\qty( s-a ) \) を得る操作に相当することを意味している.

証明

式\eqref{LapBPShist1}は, ラプラス変換の定義からただちに導くことができる. \[\begin{aligned} \mathcal{L}\left\{e^{at} f(t) \right\} &= \int_{0}^{\infty} e^{-st} e^{at} f(t) \dd{t}\notag \\ &= \int_{0}^{\infty} e^{ – \qty( s-a )t} f(t) \dd{t}\notag \\ &= F\qty( s-a ) \quad . \notag \end{aligned}\]