物理におけるギリシャ文字

物理学では、様々な物理量を表すために、アルファベットに加えてギリシャ文字が頻繁に使われている。

ギリシャ文字は高校生にあまり馴染みがないかもしれないので、その読み方や主な用途を以下にまとめた。

\( A \) , \( \alpha \) : アルファ

電磁気学では、トランジスタのベース設地電流増幅率を表す記号として使われている。

原子物理では、アルファ線アルファ粒子という放射線の名前などに使われている[1]実際には、高エネルギーの \( \ce{^{4}He} \) 原子核のことである。

統計学では、有意水準を表す記号として使われている。

数学では、 \( \beta \) と共に2次方程式の解を表す記号として使われている。

\( B \) , \( \beta \) : ベータ

電磁気学では、トランジスタのエミッタ設地電流増幅率を表す記号として使われている。

相対論では、光速 \( c \) に対する速さの比 \( \beta = v / c \) を表す記号として使われている。

原子物理では、ベータ線ベータ粒子という放射線の名前などに使われている[2]実際には、高エネルギーの電子のこと。

数学では、 \( \alpha \) と共に2次方程式の解を表す記号として使われている。

\( \Gamma \) , \( \gamma \) : ガンマ

熱力学では、比熱比を表す記号として使われている。

原子物理では、ガンマ線という放射線の名前などに使われている[3]実際には、高エネルギーの電磁波のこと。

相対論では、ローレンツ因子 \( \gamma = \qty( 1 – \frac{v^2}{c^2})^{ – \frac{1}{2}} \) として使われている。

数学では、大文字の \( \Gamma \) は階乗の概念を拡張したガンマ関数、小文字の \( \gamma \) はオイラー定数を表す記号としても使われている。

\( \Delta \) , \( \delta \) : デルタ

差分微小変化を表すときに使われ、 \( \Delta t \) と書いて \( t \) の微小変化を意味する。

大学程度の理学では、ディラックのデルタ関数クロネッカーのデルタとしても使われている。

数学では、 \( \epsilon – \delta \) 論法などで使用されている。

\( E \) , \( \epsilon \) : イプシロン

電磁気学では、誘電率を表す記号として使われている。

また、離心率としても使われている。

大学程度の理学では、エディントンのイプシロンという記号としても使われている。そのほか、微小な量誤差を表す記号として使われている。

\( Z \) , \( \zeta \) : ゼータ

パラメタとしてよく使われている。

数学では、ゼータ関数として使われている。

\( H \) , \( \eta \) : イータ

熱力学では、熱効率を表す記号として使われている。

電磁気学では、電力効率を表す記号としても使われている。

\( \Theta \) , \( \theta \) : シータ

小文字の \( \theta \) は角度を表す記号として使われている。

熱力学では、熱力学的温度を表す記号として使われている。また、大文字の \( \Theta \) は温度の次元を表す記号としても使われている。

\( I \) , \( \iota \) : イオタ

あまり使われていない。

\( K \) , \( \kappa \) : カッパ

パラメタとしてよく使われている。

曲率を表す記号としても使われている。

\( \Lambda \) , \( \lambda \) : ラムダ

波動では、波長を表す記号として使われている。

大学程度の理学では、物体の弾性率を表す記号としても使われている。

数学では、行列の固有値としても使われている。

\( M \) , \( \mu \) : ミュー

静止摩擦係数として \( \mu \) 、動摩擦係数として \( \mu^{\prime} \) が使われている。

2体問題においては、換算質量として使われている。

電磁気学では、透磁率を表す記号として使われている。

熱力学では、化学ポテンシャルを表す記号として使われている。

統計学では、平均値を表す記号として使われている。

大学程度の物理では、粘性を表すパラメタとしても使われている。

ほかにも \( 10^{-6} \) を表す接頭語としても使われている。

また、素粒子の一種であるミューオンを表す記号として使われている。

\( N \) , \( \nu \) : ニュー

波動の振動数を表す記号として使われている。

また、素粒子の一種であるニュートリノを表す記号として使われている。

\( \Xi \) , \( \xi \) : グザイ

パラメタとしてよく使われている。

大学程度の理学では、大文字の \( \Xi \) は大分配関数として使われている。

\( O \) , \( o \) : オミクロン

物理量のオーダーを表すランダウ記号としても使われている。

\( \Pi \) , \( \pi \) : パイ

円周率を表す。

大文字の \( \Pi \) は数列の積を表す記号である。

\( P \) , \( \rho \) : ロー

物質の密度を表す記号として使われている。

電磁気学では、抵抗素子の低効率を表す記号としても使われている。

そのほか、曲率半径を表す記号としても使われている。

\( \Sigma \) , \( \sigma \) : シグマ

小文字の \( \sigma \) は面密度や、断面積応力を表す記号として使われている。

電磁気学では、電気伝導率を表す記号としても使われている。

統計学では、標準偏差を表す記号としても使われている。

大文字の \( \Sigma \) は数列の和を表す記号である。

\( T \) , \( \tau \) : タウ

時間に対して指数関数的に減少する物理量の時定数として使われている。

また、時間を表すパラメタとしてよく使われている。

さらに、素粒子の一種であるタウ粒子をあわらす記号としても使われている。

\( \Upsilon \) , \( \upsilon \) : ウプシロン

あまり使われていない。

\( \Phi \) , \( \phi \) : ファイ

角度位相を表す記号として使われている。

電磁気学では、電位を表す記号としても使われている。

工学では、円の直径を表す記号としても使われている。

数学では、オイラー関数を表す記号としても使われている。

\( X \) , \( \chi \) : カイ

大学程度の理学では、物体の磁化率を表す記号としても使われている。

統計学では、カイ2乗分布を特徴づける量として使われている。

\( \Psi \) , \( \psi \) : プサイ

大学程度の理学では、波動関数を表す記号として使われている。

\( \Omega \) , \( \omega \) : オメガ

小文字、大文字ともに角振動数を表す記号として使われている。

大文字の \( \Omega \) は立体角を表す祈祷しても使われている。

また、数学では \( 1 \) の三乗根を表す記号としても使われている。

脚注

脚注
1 実際には、高エネルギーの \( \ce{^{4}He} \) 原子核のことである。
2 実際には、高エネルギーの電子のこと。
3 実際には、高エネルギーの電磁波のこと。