オイラーの微分方程式

2階線形微分方程式のうち, 定数 \( a \) , \( b \) と \( x \) の関数 \( R(x) \) を用いて \[x^{2} y^{\prime \prime} + a x y^{\prime} + b y = R(x) \notag\] と書けるもの, またはこの同伴方程式である \[x^{2} y^{\prime \prime} + a x y^{\prime} + b y = 0 \notag\] のことを(2階の)オイラーの微分方程式という.

変数係数を持つ2階線形微分方程式の一般的な解法は知られていないが, オイラーの微分方程式は変数変換を行うことで定数係数2階線形微分方程式へと変形できることを議論しよう.
定数係数2階線形同次微分方程式の一般解,
定数係数2階線形非同次微分方程式の一般解

以下では対数関数が頻繁に登場するので, 物理分野で用いられる記法を一つ紹介しておこう. ネイピア数 \( e \) を底に持つような対数関数 \( \log_{e}{x} \) のことを \( \ln{x} \) と書くことにする. \[\ln{x} \coloneqq \log_{e}{x} \quad . \notag\]

オイラーの微分方程式の変数変換

オイラーの微分方程式 \[x^{2} y^{\prime \prime} + a x y^{\prime} + b y = R(x) \label{difeq2ndEuler1}\] において, \[x = e^{t} \ \iff \ t = \ln{x} \notag\] という変数変換を行おう. このとき, \( y^{\prime} \) および \( y^{\prime \prime} \) は \( \dv{t}{x}=\frac{1}{x} \) に注意すると, \[\begin{aligned} y^{\prime} &= \dv{y}{x} = \dv{t}{x} \dv{y}{t} \notag \\ &= \frac{1}{x} \dv{y}{t} \notag \\ y^{\prime\prime} &= \dv{x} \qty( \frac{1}{x} \dv{y}{t} )\notag \\ &= \dv{x} \qty( \frac{1}{x} ) \dv{y}{t} + \frac{1}{x} \dv{t}{x} \dv{t} \qty( \dv{y}{t} ) \notag \\ &= \frac{1}{x^{2}} \qty( \dv[2]{y}{t} – \dv{y}{t} ) \notag \end{aligned}\] と表すことができるので, 式\eqref{difeq2ndEuler1}は \( t \) を独立変数に持つ関数 \( y(t) \) の微分方程式 \[\dv[2]{y}{t} + \qty( a -1 ) \dv{y}{t} + b y = R(t) \notag\] と書き換えることができる.

同次方程式の一般解

同次方程式であるオイラーの微分方程式 \[x^{2} y^{\prime \prime} + a x y^{\prime} + b y = 0 \label{difeq2ndEulerdouji}\] に対して変数変換 \( t = \ln{x} \) を行なった式 \[\dv[2]{y}{t} + \qty( a -1 ) \dv{y}{t} + b y = 0 \label{difeq2ndEulerdoujit}\] は定数係数2階線形同次微分方程式となっているので, この一般解は機械的に知ることができる. すなわち, 式\eqref{difeq2ndEulerdoujit}に対応する特性方程式 \[\lambda^{2} + \qty( a – 1 ) \lambda + b = 0 \label{difeq2ndEulerdoujittokusei}\] が(i)二つの異なる実数解 \( \lambda_{1} \) , \( \lambda_{2} \) を持つとき, (ii)二つの異なる虚数解 \( \lambda_{1}=p+iq \) , \( \lambda_{2}=p-iq \) を持つとき, (iii)重解 \( \lambda_{0} \) を持つとき, のそれぞれに応じて基本解が決定される.(定数係数2階線形同次微分方程式の一般解)

二つの異なる実数解 \( \lambda_{1} \) , \( \lambda_{2} \) を持つとき

特性方程式\eqref{difeq2ndEulerdoujittokusei}が二つの異なる実数解 \( \lambda_{1} \) , \( \lambda_{2} \) を持つとき, (変数変換後の)オイラーの微分方程式の基本解の組は \( \left\{e^{\lambda_{1} t} , e^{\lambda_{2} t} \right\} \) で与えられる. ただし, \[e^{\lambda t} = e^{\lambda \ln{x}} = \qty( e^{\log_{e}{x} } )^{\lambda} = x^{\lambda} \notag\] と書けることに注意すると, 基本解の組は \( \left\{x^{\lambda_{1} } , x^{\lambda_{2} } \right\} \) と書き換えることができるので, オイラーの微分方程式(式\eqref{difeq2ndEulerdouji})の一般解は次式で与えられる. \[y = C_{1} x^{\lambda_{1}} + C_{2} x^{\lambda_{2}} \qq{ \( C_{1}, C_{2} \) は任意定数} \quad . \notag\]

二つの異なる虚数解 \( \lambda_{1}=p+iq \) , \( \lambda_{2}=p-iq \) を持つとき

特性方程式\eqref{difeq2ndEulerdoujittokusei}が二つの異なる虚数解 \( \lambda_{1}=p+iq \) , \( \lambda_{2}=p-iq \) を持つとき, (変数変換後の)オイラーの微分方程式の基本解の組は \[\begin{aligned} & \left\{e^{p t} \sin{\qty( q t )}, e^{p t} \cos{\qty( q t )} \right\} \notag \\ &= \left\{x^{p} \sin{\qty( q \ln{x} )}, x^{p} \cos{\qty( q \ln{x} )} \right\} \notag \end{aligned}\] で与えられるので, オイラーの微分方程式(式\eqref{difeq2ndEulerdouji})の一般解は次式で与えられる. \[y = x^{p} \left\{C_{1} \sin{\qty( q \ln{x} )} + C_{2} \cos{\qty( q \ln{x} )} \right\} \qq{ \( C_{1}, C_{2} \) は任意定数} \quad . \notag\]

重解 \( \lambda_{0} \) を持つとき

特性方程式\eqref{difeq2ndEulerdoujittokusei}が重解 \( \lambda_{0} \) を持つとき, (変数変換後の)オイラーの微分方程式の基本解の組は \[\left\{e^{\lambda_{0} t} , t e^{\lambda_{0} t} \right\} = \left\{x^{\lambda_{0}} , \ln{x} \, e^{\lambda_{0} } \right\} \notag\] で与えられるので, オイラーの微分方程式(式\eqref{difeq2ndEulerdouji})の一般解は次式で与えられる. \[y = C_{1} x^{\lambda_{0}} + C_{2} \ln{x} \, x^{\lambda_{0}} \qq{ \( C_{1}, C_{2} \) は任意定数} \quad . \notag\]

非同次方程式の一般解

非同次方程式であるオイラーの微分方程式 \[x^{2} y^{\prime \prime} + a x y^{\prime} + b y = R(x) \label{difeq2ndEulernh}\] に対して変数変換 \( t = \ln{x} \) を行なった式 \[\dv[2]{y}{t} + \qty( a -1 ) \dv{y}{t} + b y = R(t) \label{difeq2ndEulernhdouhan}\] は定数係数2階線形非同次微分方程式となっているので, この一般解は式\eqref{difeq2ndEulernhdouhan}の同伴方程式の二つの基本解 \( y_{1} \) , \( y_{2} \) と式\eqref{difeq2ndEulernh}の特殊解 \( Y \) を用いて \[y = Y+ C_{1}y_{1} + C_{2}y_{2} \qq{ \( C_{1}, C_{2} \) は任意定数} \notag\] で与えられる. または, まったく同値の次式で与えられる.(定数係数2階線形非同次微分方程式の一般解) \[y = C_{1} y_{1} + C_{2} y_{2} + \left\{ – \int \frac{y_{2}}{W(y_{1}, y_{2})}R(x) \dd{x} \right\}y_{1} + \left\{\int \frac{y_{1}}{W(y_{1}, y_{2})}R(x) \dd{x} \right\}y_{2} \notag \quad .\]