数列

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数列
シグマ記号の公式
等差数列
等比数列
数列の極限
無限級数


数列

数の並び

ある数の並びを表現するとき, 数を具体的に書き並べて, \[ 1, 1, 2, 3, 5, \cdots \notag \] などと書き並べたり, 数を文字で代用して, \[ a, b, c, \cdots \notag \] などと表現することができるであろう.

しかし, これらの手法では(すう)(かず)が多い場合には対応できないし, どの文字がその数の並びの何番目に該当するのかなどを言い表すときに不都合が生じるのは明らかである.

そこで, 文字 \( a \) などに下付きの自然数の添字をつけ, 各項を \( a_{1}, a_{2} \) などとして, \[ a_{1}, a_{2}, a_{3}, \cdots , a_{n} \quad n \in \mathbb{N} \notag \] として数の並びを表現することにする. このようにすれば \( n \) を十分に大きくすることで数の数が増えた場合も対応できるし, \( n \) 番目の数が \( a_{n} \) であることも一目瞭然である. このような数の並びを数列といい, \( \left\{ a_{1}, a_{2}, \cdots , a_{n} , \cdots \right\} \) もしくは \( \left\{ a_{n} \right\} \) のようにあらわす.

数列 \( \left\{a_{n} \right\} \) の \( a_{1} \) のことを第 \( 1 \) 項または初項といい, \( n \) 番目の数 \( a_{n} \) を第 \( n \) 項という. また, \( a_{n} \) を \( n \) で含んだ式で表現できれば, 第 \( k \) 項の値 \( a_{k} \) が即座に求められることから, \( a_{n} \) を \( n \) を含んだ形で表したものを数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の一般項などという.

数列の並びはどんな並びでもよいのだが, 目下の議論の対象となるのはある規則性を持って並んでいる数列である. 以下ではこのような数列のみを考えることにする.

シグマ記号の導入

数学の問題として登場する場合には数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の一般項を求めたり予想したりすることが多く, 数列の規則性をいかに巧妙に抽出するかが腕の見せ所となる. これに加えて, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の総和を求めるような問題も重要となる. すなわち, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の総和を \( S_{n} \) とすると, \[ S_{n} = a_{1} + a_{2} + \cdots + a_{n} \notag \] の値を求めることが問題となる. そして, \( S_{n} \) を毎回上式のように書くことはせず, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の総和をあらわすための数学記号として \( \sum \) (シグマ)記号があり, \( n \in \mathbb{N} \) について, \[ S_{n} = \sum_{k=1}^{n} a_{k} \mathrel{\mathop:}= a_{1} + a_{2} + \cdots + a_{n} \notag \] と定義する. ここで登場する変数 \( k \) は \( \displaystyle{\sum_{k=1}^{n}a_{k}} \) の定義式を見ればわかるように, その計算結果には登場しない変数である. したがって, 別の文字で置き換えてもよく, \[ \sum_{k=1}^{n}a_{k} = \sum_{i=1}^{n}a_{i} = \sum_{\star=1}^{n}a_{\star} = a_{1} + a_{2} + \cdots + a_{n} \notag \] が成立する[1].

このような \( \sum \) 記号の定義から, \( \alpha, \beta \) を定数として次式が成立することが確かめられる. \[ \begin{aligned} & \sum_{k=1}^{n} \left( \alpha a_{k} + \beta b_{k}\right) = \alpha \sum_{k=1}^{n} a_{k} + \beta \sum_{k=1}^{n} b_{k} \\ & \sum_{k=1}^{n} \alpha = n \alpha \\ & \sum_{k=m}^{n} a_{k} = \sum_{k=1}^{n} a_{k} – \sum_{k=1}^{m-1} a_{k} \end{aligned} \notag \]

高校物理における数列の使いどころ

これまでにざっと眺めてきたように, (実数のみを項に持つ)数列は数列 \( \left\{a_{n}\right\} \) の添字 \( n \) の値を指定すると実数値 \( a_{n} \) が得られる. したがって, 数列とは \( n \in \mathbb{N} \) から \( a_{n} \in \mathbb{R} \) への写像 \( f : \mathbb{N} \to \mathbb{R} \) とみなすことができる.

物理でいえば, \( n \) 回目の測定結果によって得られるある物理量の一般項 \( a_{n} \) がわかれば, 物理的な状況が変化しない範囲において, 実際に測定せずとも, 測定回数に応じた物理量を知ることができる.

よくある例として, ボールが地面に何度も反発しながら跳ねるような運動を解析することが大学受験程度の物理でも登場する. この場合, ボールと地面との \( n-1 \) 回目の衝突から \( n \) 回目の衝突までの時間 \( t_n \) を求めることができれば, \( 1 \) 回目の衝突から \( n \) 回目の衝突までにかかる時間を \[ \sum_{k=1}^{n}t_{k} = t_1 + t_2 + \cdots + t_{n} \notag \] で計算することが可能となるのである.

この他にも多数の物体が持つ量をまとめるときなどにシグマ記号が効果を発揮してくれる. 特に重心の議論などでは物体の質量を足し合わせる必要があるため, シグマ記号を使うことで式を簡略化する有効性が確認できるであろう.

数列

数列を \( \left\{ a_{1}, a_{2}, \cdots \right\} \) もしくは \( \left\{ a_{n}\right\} \) とあらわす. \( a_{1} \) を初項, \( a_{n} \) を一般項という.

数列 \( \left\{ a_{n}\right\} \) の第 \( n \) 項までの和 \( S_{n} \) をシグマ記号を用いて次のようにあらわす. \[ \displaystyle{S_{n}=\sum_{k=1}^{n} a_{k}=a_{1} + a_{2} + \cdots + a_{n} } \notag \]

シグマ記号の公式

数列の和を簡潔に表現する便利な記号, シグマ記号の最低限知っておくべき公式を紹介し, 証明を載せておく.

シグマ記号の公式

\( \displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k} = \frac{1}{2}n\left(n+1\right) \)

\( \displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^2} = \frac{1}{6} n \left( n+1 \right) \left( 2n+1 \right) \)

\( \displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k^3} = \left\{ \frac{1}{2}n\left(n+1\right) \right\}^2 \)

\( \displaystyle{ \sum_{k=1}^{n}r^{k-1} = \frac{1-r^{n}}{1-r} \quad \left( r\neq 1\right)} \)

等差数列

初項 \( a_{1} \) が定数 \( a \) , 第 \( n+1 \) 項 \( a_{n+1} \) と第 \( n \) 項 \( a_{n} \) の差が定数 \( d \) で与えられる数列を等差数列といい, \( d \) を公差という.

初項 \( a \) , 公差 \( d \) の等差数列の一般項 \( a_{n} \) は次式であらわされる. \[ \begin{aligned} & \left\{ \begin{array}{l} a_1 = a \\ a_{n+1} – a_{n} = d \end{array} \right. \\ \Rightarrow \ & a_{n} = a + \left( n-1 \right) d \end{aligned} \] 等差数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の初項から第 \( n \) 項までの和 \( S_{n} \) について次式が成立する. \[ \begin{aligned} S_{n} &= a_{1} + a_{2} + \cdots + a_{n} \\ &= \sum_{k=1}^{n} a_{k} \\ &= \sum_{k=1}^{n} \left( a + \left( k-1 \right) d \right) \\ &= an + \frac{1}{2}\left( n-1 \right)n d \\ &= \frac{n}{2} \left\{ 2a + \left( n-1\right) d \right\} \\ &= \frac{n}{2} \left\{ a_{1} + a_{n} \right\} \end{aligned} \]

等比数列

初項 \( a_{1} \) が定数 \( a \) , 第 \( n \) 項 \( a_{n} \) に対する第 \( n+1 \) 項 \( a_{n+1} \) が定数 \( r \) で与えられる数列を等比数列といい, \( r \) を公比という.

初項 \( a \) , 公比 \( r \) の等比数列の一般項 \( a_{n} \) は次式であらわされる. \[ \begin{aligned} & \left\{ \begin{array}{l} a_1 = a \\ \frac{a_{n+1}}{ a_{n}} = r \end{array} \right. \\ \Rightarrow \ & a_{n} = a r^{n-1} \end{aligned} \] 等比数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の初項から第 \( n \) 項までの和 \( S_{n} \) について次式が成立する. \[ \begin{aligned} S_{n} &=\sum_{k=1}^{n}a r^{k-1} \\ &= a \sum_{k=1}^{n} r^{k-1} = \left\{ \begin{array}{ll} \displaystyle{ a \frac{1-r^{n}}{1-r} }& \left( r \neq 1 \right) \\ \displaystyle{ na } & \left( r = 1 \right) \end{array} \right. \quad . \end{aligned} \]

数列の極限

数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の \( n \to \infty \) の極限において \( a_{n} \) が \( \alpha \) に限りなく近くならば, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) は極限値 \( \alpha \) に収束するといい, 次式であらわす. \[ \lim_{n \to \infty} a_{n} = \alpha \notag \] 一方, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の \( n \to \infty \) の極限において収束しない場合, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) は発散するという.

発散には幾つかの種類があり, \( \lim_{n \to \infty} a_{n}= \pm \infty \) のことを, (または負)に発散するといい, 正にも負にも発散せず, 収束もしないような場合には振動するという.

数列の極限の性質

数列の極限について以下の性質が成り立つ.

\( k \) を実数とし, \( n \to \infty \) のとき数列 \( \left\{ a_{n}\right\}, \left\{ b_{n}\right\} \) が収束るならば,

  1. \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} k a_{n} = k \lim_{n \to \infty}a_{n}} \)

  2. \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} \left( a_{n} \pm b_{n} \right) = \lim_{n \to \infty} a_{n} \pm \lim_{n \to \infty} b_{n} } \)

  3. \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} a_{n} b_{n} = \left( \lim_{n \to \infty} a_{n} \right) \left( \lim_{n \to \infty} b_{n} \right) } \)

  4. \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} \frac{a_{n}}{ b_{n}} = \frac{ \lim_{n \to \infty} a_{n} }{ \lim_{n \to \infty} b_{n} } } \)

無限級数

部分和と無限級数

数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) について, \[ \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} a_{k} = a_{1} + a_{2} + \cdots \notag \] を無限級数という. また, 数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) の第 \( 1 \) 項から第 \( n \) 項までの和 \( \displaystyle{ S_{n} = \sum_{k=1}^{n}a_{k} } \) を(第 \( n \) )部分和という.

したがって, 無限級数は \[ \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} a_{k} = \lim_{n \to \infty} S_{n} \notag \] のように部分和の極限値で表すことができる.

\( n \to \infty \) において部分和数列 \( \left\{ S_{n} \right\} \) が極限値 \( S \) を持つならば次式が成立する. \[ S = \sum_{k=1}^{\infty} a_{k} \mathrel{\mathop:}= \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} a_{k} = \lim_{n \to \infty} S_{n} \notag \]

無限等比数列

等差数列の場合には公差がゼロでない限りその値は発散するが, 等比数列の場合にはその公比の値によって場合分けが生じる.

初項 \( a \) , 公比 \( r \ \left( \neq 1\right) \) の無限等比数列について考える. このような等比数列の第 \( n \) 部分和 \( S_{n} \) は \[ S_{n} = \sum_{k=1}^{n}ar^{n-1}=a \frac{1-r^{n}}{1-r} \notag \] であるので, 無限等比級数は \[ \lim_{n \to \infty} S_{n} = \sum_{k=1}^{n}ar^{n-1} = \lim_{n \to \infty } a \frac{1-r^{n}}{1-r} \notag \] である.

  1. 初項 \( a=0 \) の場合 \[ \lim_{n \to \infty }\sum_{k=1}^{n}ar^{n-1} = 0 \notag \]

  2. 初項 \( a\neq0 \) , \( \left| r \right| < 1 \) の場合には無限等比級数 \( \displaystyle{\lim_{n \to \infty } \sum_{k=1}^{n}ar^{n-1}} \) は収束値を持ち, \[ \lim_{n \to \infty } \sum_{k=1}^{n}ar^{n-1} = \lim_{n \to \infty } a \frac{1-r^{n}}{1-r} = \frac{a}{1-r} \notag \] となる.

  3. 初項 \( a\neq0 \) , \( \left| r \right| \geqq 1 \) の場合には無限等比級数 \( \displaystyle{\lim_{n \to \infty } \sum_{k=1}^{n}ar^{n-1}} \) は収束値を持たずに発散する.

無限級数に関する幾つかの事実

無限級数は奥が深く, 世の中ではいくつもの興味深い無限級数について熱心に研究がなされている.それらの仕事によって高校生で証明ができずとも知っておいたほうがよい幾つかの性質及び注意について述べる.

数列の収束と無限級数

無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) が収束する場合を考える. つまり, この級数の部分和を \( S_{n} \) として極限値 \( \displaystyle{ S = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} a_k = \lim_{n \to \infty}S_{n}} \) が存在する場合を考える. 数列の一般項 \( a_{n} \) は \[ a_{n} = S_{n+1} – S_{n} \notag \] が成立するので, \[ \lim_{n \to \infty} a_{n} = \lim_{n \to \infty} \left( S_{n+1} – S_{n} \right) \notag \] が成立する. ここで, \( S_{n}, S_{n+1} \) は \( n \to \infty \) で収束することから, \[ \lim_{n \to \infty} a_{n} = \lim_{n \to \infty} S_{n+1} – \lim_{n \to \infty} S_{n+1} = S – S = 0 \notag \] が示される.

以上より, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) が収束する場合, \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} a_n } \) は収束することが示された.

この定理はその対偶命題は級数の収束判定の基本であり, \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} a_n } \) が収束しない場合, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) は収束しないことがわかる.

絶対収束と項の入れ替え

一般に, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_{k} } \) について考える場合, 足し合わせる項の順番を入れ替えることはできない.

ただし, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) に対し, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} \left| a_{k}\right| } \) が収束する場合, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) は絶対収束するといい, 収束値を持つ. この場合には級数の足し合わせの順序を変更することができる.

無限級数

数列 \( \left\{ a_{n} \right\} \) について, \[ \sum_{k=1}^{\infty} a_{k} \mathrel{\mathop:}= \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} a_{k} = a_{1} + a_{2} + \cdots \notag \] を無限級数という. ただし, 一般には無限級数の足し合わせる順番の変更は許されない.

無限等比級数 :
初項 \( a \) , 公比 \( r \ \left( \neq 1\right) \) の無限等比数列 \( \left\{ ar^{n-1} \right\} \) について

  1. 初項 \( a=0 \) の場合, \[ \lim_{n \to \infty }\sum_{k=1}^{n}ar^{n-1} = 0 \quad . \notag \]
  2. 初項 \( a\neq0 \) , \( \left| r \right| < 1 \) の場合, \[ \lim_{n \to \infty } \sum_{k=1}^{n}ar^{n-1} = \lim_{n \to \infty } a \frac{1-r^{n}}{1-r} = \frac{a}{1-r} \quad . \notag \]
  3. 初項 \( a\neq0 \) , \( \left| r \right| \geqq 1 \) の場合, 発散する.

無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) が収束する場合, \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} a_n } \) は収束する. \( \iff \) \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty} a_n } \) が収束しない場合, 無限級数 \( \displaystyle{ \lim_{n \to \infty}\sum_{k=1}^{n} a_k } \) は収束しない.

最終更新日
極限 微分法



補足    (↵ 本文へ)
  1. よく使われる文字としては \( i, j, k, l, m \) など, 整数や自然数を意味することによく使われる文字と一致している.

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