斜方投射

斜方投射

図のように, 時刻 \( t=0 \) において, 水平方向から角度 \( \theta \) ( \( 0^{\circ} < \theta < 90^{\circ} \) )となるように斜め上方に向かって速さ \( v_{0} \) で小物体を投げた. このとき, 次の問に答えよ.

ただし, 重力加速度の大きさは \( g \) とする.

小物体が鉛直方向の最高点に達するまでにかかる時間 \( t_{1} \) .

鉛直方向の最高点における小物体の速さ \( v_{1} \) .

鉛直方向の最高点の地面からの高さ \( h \) .

小物体が再び地面に達するまでにかかる時間 \( t_{2} \) .

地面に衝突する直前の小物体の速さ \( v_{2} \) .

水平方向の飛行距離 \( L \) .

\( L \) を最大にする角度 \( \theta \) を求めよ.

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等加速度運動の公式を積極的に用いる解法を採用する. 運動学の基本的な姿勢であり, 次の公式を確認しておこう. \[\begin{aligned} & x = \frac{1}{2}at^{2} + v_{0}t + x_{0} \\ & v = v_{0} + at \\ & v^{2} – v_{0}^{2} = 2a\left( x – x_{0} \right)\end{aligned}\]

ここで, \( t \) は時間, \( x \) は位置座標, \( x_{0} \) は初期の位置座標, \( v \) は速度(の成分), \( v_{0} \) は速度(の成分), \( a \) は加速度(の成分)である. なお, 1つ目の式については変位 \( x-x_{0} \) を記号 \( x \) で表した式 \[x = \frac{1}{2}at^{2} + v_{0}t \notag \] で習う人も多いであろう.

まずは座標軸をしっかりと定義しておく. 問題によっては座標軸の取り方に工夫をこらすこともあるが, 今回は素直な座標軸の設定で問題はなさそうである. \( t=0 \) における物体の位置を原点 \( O \) とする. 座標軸は水平方向を \( x \) 軸とし右向きを正, 鉛直方向を \( y \) 軸とし鉛直上向きを正とする.

続いては, \( x \) 軸方向と \( y \) 軸方向への初速度を把握する. 各軸方向への初速度の成分を \( v_{x_{0}} \) , \( v_{y_{0}} \) とすると, \[\begin{aligned} v_{x_{0}} &= v_{0} \cos{\theta} \\ v_{y_{0}} &= v_{0} \sin{\theta} \end{aligned}\] であることがわかる. また, 水平方向には加速度を生じる要因が存在しないが, 鉛直方向には重力加速度によって下向きに大きさ \( g \) で加速することになるので, 加速度の各成分を \( a_{x} \) , \( a_{y} \) とすると, \[\begin{aligned} a_{x} &= 0 \\ a_{y} &= -g\end{aligned}\] であることから, 時刻 \( t \) における水平方向および鉛直方向の速度 \( v_{x} \) , \( v_{y} \) は \[\begin{aligned} v_{x} &= v_{x_{0}} + a_{x}t = v_{0}\cos{\theta} \\ v_{y} &= v_{y_{0}} + a_{y}t = v_{0}\sin{\theta} – gt \end{aligned}\]

また, 時刻 \( t \) における水平方向および鉛直方向の速度 \( x \) , \( y \) は \[\begin{aligned} x &= \frac{1}{2}a_{x}t^{2} + v_{x_{0}}t + x_{0} \\ \to \ x &= v_{0}\cos{\theta}\,t \\ y &= \frac{1}{2}a_{y}t^{2} + v_{y_{0}}t + y_{0} \\ \to \ y &= -\frac{1}{2}gt^2 + v_{0}\sin{\theta}\,t \end{aligned}\] が成立している.

時刻 \( t=t_{1} \) に小物体が鉛直方向の最高点に達したとき, 鉛直方向の速度 \( v_{y} \) がゼロであることから, \[\begin{aligned} & v_{y} = v_{y_{0}} -g t_{1} \\ \to \ & 0 = v_{0}\sin{\theta} – gt_{1} \\ \to \ & t_{1} = \frac{v_{0}\sin{\theta}}{g}\end{aligned}\]

すでにわかっているとおり, 最高点における鉛直方向の速度成分 \( v_{y} \) はゼロであり, \( v_{x} \) は時間によらずに \( v_{0}\cos{\theta} \) で一定であることから, 最高点における速さ \( v_{1} \) は \[\begin{aligned} v_{1} &= \sqrt{ v_{x}^{2} + v_{y}^{2} } \\ &= \sqrt{ \left( v_{0}\cos{\theta} \right)^{2} + 0^{2} } \\ &= v_{0}\cos{\theta}\end{aligned}\]

最高点の高さは \( t_{1} \) を鉛直方向の位置の公式に代入して \[\begin{aligned} y &= -\frac{1}{2}gt_{1}^{2} + v_{0}\sin{\theta}\,t_{1} \\ &= \frac{v_{0}^{2}\sin^{2}{\theta}}{2g}\end{aligned}\] で求めてもよいし, 時間情報が必要ないので, 公式 \[\begin{aligned} & v_{y}^{2} – v_{y_{0}}^2 = 2 a_{y} \cdot \left( y – y_{0} \right) \\ \to \ & 0^{2} – \left( v_{0}\sin{\theta} \right)^{2} = 2 \cdot \left( -g \right) \cdot \left( y – 0 \right) \\ \to \ & y = \frac{v_{0}^{2}\sin^{2}{\theta}}{2g}\end{aligned}\] で求めてもよい.

鉛直方向の位置の公式より, \[\begin{aligned} & y = -\frac{1}{2}gt^2 + v_{0}\sin{\theta}\,t \\ \to \ & 0 = -\frac{1}{2}gt_{2}^2 + v_{0}\sin{\theta}\,t_{2} \\ \to \ & t_{2} =0, \ \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \end{aligned}\] \( t=0 \) は小物体が原点にいるときの時刻なので, 本問の解はもう一方の答えである. \[t_{2} = \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \notag \]

速度の鉛直方向の公式より, \[\begin{aligned} v_{y} &= v_{y_{0}} + a_{y}t = v_{0}\sin{\theta} – gt_{2} \\ \to \ & v_{y} = v_{0}\sin{\theta} – g \cdot \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \\ \to \ & v_{y} = – v_{0}\sin{\theta} \end{aligned}\] したがって, \[\begin{aligned} v_{2} &= \sqrt{ \left( v_{0}\cos{\theta} \right)^{2} + \left( – v_{0}\sin{\theta} \right)^{2} } \\ &= v_{0} \end{aligned}\]

\( t=t_{2} \) までの水平方向の移動距離 \( L \) は \[\begin{aligned} L &= v_{x}\cdot t_{2} \\ &= v_{0} \cos{\theta}\cdot \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \\ &= \frac{v_{0}^{2}\sin{2\theta}}{g} \quad \left( \because \ 2\sin{\theta}\cos{\theta} = \sin{2\theta}\right) \end{aligned}\]

角度 \( \theta \) は \( 0^{\circ} < \theta < 90^{\circ} \) より, \( 0^{\circ} < 2\theta < 180^{\circ} \) である. この角度の範囲内で \( \sin{2\theta} \) を最大にする角度は \( 2\theta=90^{\circ} \) より, \( \theta=45^{\circ} \) で \( L \) は最大となる.

\( v \) – \( t \) グラフを積極的に用いる解法を採用する. 問題設定からして等加速度運動であることは明らかなので \( v \) – \( t \) グラフからかなりの情報を読み取ることができる.

小物体に生じる加速度は鉛直方向の重力加速度によるもののみである. また, 初速度の \( x \) 方向及び \( y \) 方向成分はそれぞれ \( v_{0}\cos{\theta} \) , \( v_{0}\sin{\theta} \) である. したがって, 時刻 \( t \) における速度の \( x \) 方向成分 \( v_{x} \) , \( y \) 方向成分 \( v_{y} \) は \[\begin{aligned} v_{x} &= v_{0}\cos{\theta} + 0 \cdot t = v_{0}\cos{\theta} \\ v_{y} &= v_{0}\sin{\theta} – g \cdot t \end{aligned}\] で与えられる. したがって, \( v_{x} \) は時間によらず一定であり, \( v_{y} \) に対する \( v \) – \( t \) グラフが下図である.

\( v \) – \( t \) グラフにおいて, \( v > 0 \) の領域でつくられる面積はプラスの変位, \( v < 0 \) の領域でつくられる面積はマイナスの変位と考える.

\( y \) 方向の最高点は, \( v \) – \( t \) グラフの符号付き面積が最大になる箇所であり, \( v_{y} \) を表す直線と \( t \) 軸との交点が \( t_{1} \) である. \[\begin{aligned} & 0 = v_{0}\sin{\theta} – g \cdot t_{1} \\ \to \ & t_{1} = \frac{v_{0}\sin{\theta}}{g} \end{aligned}\]

すでにわかっているとおり, \( v_{y}=0 \) であり, \( v_{x} \) は時間によらずに \( v_{0}\cos{\theta} \) で一定なので, \[\begin{aligned} v_{1} &= \sqrt{ \left( v_{0}\cos{\theta} \right)^2 + 0^2 } \\ &= v_{0}\cos{\theta} \end{aligned}\]

\( t=0 \) から \( t=t_{1} \) の間の変位は \( v \) – \( t \) グラフの面積より, \[\begin{aligned} h &= \frac{1}{2} \cdot t_{1} \cdot v_{0}\sin{\theta} \\ &= \frac{v_{0}^{2}\sin^{2}{\theta}}{2g} \end{aligned}\]

\( t=0 \) からの小物体の鉛直方向の変位が \( 0 \) となればよい. \( v \) – \( t \) グラフで \( t=2t_{1} \) まで \( v_{y} \) の直線を伸ばせば, \( t=0 \) から \( t=t_{1} \) までの面積と \( t=t_{1} \) から \( t=t_{2} \) までの(符号付き)面積(の絶対値)が同じであるので, \[t_{2} = 2t_{1} = \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \notag \]

\( v \) – \( t \) グラフより, 時刻 \( t_{2} \) においては \( v_{y}=-v_{0}\sin{\theta} \) であり, \( v_{x} \) は時間によらずに \( v_{0}\cos{\theta} \) で一定なので, \[\begin{aligned} v_{2} &= \sqrt{ \left( v_{0}\cos{\theta} \right)^2 + \left( -v_{0}\sin{\theta} \right)^2 } \\ &= v_{0} \quad . \end{aligned}\] である.

\( t=t_{2} \) までの水平方向の移動距離 \( L \) は \[\begin{aligned} L &= v_{x}\cdot t_{2} \\ &= v_{0} \cos{\theta}\cdot \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \\ &= \frac{v_{0}^{2}\sin{2\theta}}{g} \quad \left( \because \ 2\sin{\theta}\cos{\theta} = \sin{2\theta}\right) \end{aligned}\]

角度 \( \theta \) は \( 0^{\circ} < \theta < 90^{\circ} \) より, \( 0^{\circ} < 2\theta < 180^{\circ} \) である. この角度の範囲内で \( \sin{2\theta} \) を最大にする角度は \( 2\theta=90^{\circ} \) より, \( \theta=45^{\circ} \) で \( L \) は最大となる.

微積分的な考えを(無駄に)積極的に用いる解法を採用する. 以下の解説の記述の多くは, 実際の記述では簡略化可能である.

小物体の質量を \( m \) とし, \( t=0 \) における物体の位置を原点 \( O \) とする. 座標軸は水平方向を \( x \) 軸, 鉛直方向を \( y \) 軸とし, 時刻 \( t \) における物体の位置を \( \boldsymbol{r}(t)=(x, y) \) , 速度を \( \boldsymbol{v}(t)=(v_x, v_y) \) とする.

飛行中の小物体の運動方程式は水平方向と鉛直方向の加速度を \( a_{x} \) , \( a_{y} \) とすると, \[\begin{aligned} & m a_{x} = 0 \to a_{x} = 0 \\ & m a_{y} = -mg \to a_{y} = -g \end{aligned}\] が成立している.

水平方向について, \( t^{\prime}=0 \) から時刻 \( t^{\prime}=t \) で積分すると, \[\begin{aligned} & \int_{t^{\prime}=0}^{t^{\prime}=t} a_{x} \,dt^{\prime} = 0 \\ \to \ & \left[ v_{x}(t^{\prime})\right]_{t^{\prime}=0}^{t^{\prime}=t} = v_{x}(t) – v_{x}(0) =0 \\ \end{aligned}\] 鉛直方向について, \( t^{\prime}=0 \) から時刻 \( t^{\prime}=t \) で積分すると, \[\begin{aligned} & \int_{t^{\prime}=0}^{t^{\prime}=t} a_{y} \,dt^{\prime} = \int_{t^{\prime}=0}^{t^{\prime}=t} -g \,dt^{\prime} \\ \to \ & \left[ v_{y}(t^{\prime})\right]_{t^{\prime}=0}^{t^{\prime}=t} = v_{x}(t) – v_{x}(0) =-gt \\ \end{aligned}\] ここで, 問題で与えられた速度の初期条件 \[\left\{ \begin{aligned} v_{x}(0) &= v_{0}\cos{\theta} \\ v_{y}(0) &= v_{0}\sin{\theta} \end{aligned} \right.\] を用いると, \[\therefore \left\{ \begin{aligned} v_{x}(t) &= v_{x}(0) = v_{0}\cos{\theta} \\ v_{y}(t) &= v_{y}(0) -gt = v_{0}\sin{\theta} – gt \end{aligned} \right.\] が得られる.

速度をもう一度積分すると, \[\begin{aligned} x(t) – x(0) &= v_{0}\cos{\theta}\,t \\ y(t) – y(0) &= v_{0}\sin{\theta}\,t – \frac{1}{2}gt^2 \end{aligned}\] であり, 問題で与えられた速度の初期条件 \[\left\{ \begin{aligned} x(0) &= 0 \\ y(0) &= 0 \end{aligned} \right.\] を用いると, \[\therefore \left\{ \begin{aligned} x(t) &= v_{0}\cos{\theta}\,t \\ y(t) &= v_{0}\sin{\theta}\,t – \frac{1}{2}gt^2 \end{aligned} \right.\]

小物体が最高点に達するとき, \( \frac{dy}{dt}=0 \) , すなわち, \( v_{y}(t_{1})=0 \) より, \[t1 = \frac{v_{0}\sin{\theta}}{g} \quad .\notag \]

時刻 \( t_{1} \) における小物体の \( v_{x} \) , \( v_{y} \) について, \( v_{x} \) は時間によらずに \( v_{0}\cos{\theta} \) であり, \( v_{y} \) はゼロであるので, \[\begin{aligned} v_{1} &= \sqrt{ \left( v_{x}(t_{1}) \right)^2 + \left( v_{y}(t_{1}) \right)^2 } \\ &= \sqrt{ \left( v_{0}\cos{\theta} \right)^2 + 0^2 } \\ &= v_{0}\cos{\theta} \end{aligned}\]

最高点の地面からの高さ \( h \) は \( y(t_{1}) \) であるので, \[\begin{aligned} h &= y(t_{1}) \\ &= v_{0}\sin{\theta}\,\frac{v_{0}\sin{\theta}}{g} – \frac{1}{2}g \left( \frac{v_{0}\sin{\theta}}{g} \right)^2 \\ &= \frac{v_{0}^{2}\sin^{2}{\theta}}{2g} \end{aligned}\]

小物体が地面( \( y=0 \) )に達するのにかかる時間は \[\begin{aligned} & y(t) = v_{0}\sin{\theta}\,t-\frac{1}{2}gt^2 = 0\\ \to \ & t \left( v_{0}\sin{\theta}-\frac{1}{2}gt \right) = 0 \end{aligned}\] この式を満たす \( t \) は \( t=0 \) と \( t= \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \) であるが, \( t=0 \) は小物体が原点にいた時刻のことなので, \[t_{2} = \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} = 2t_{1} \notag \]

時刻 \( t_{2} \) のとき \[\begin{aligned} v_{y}(t_{2}) &= v_{0}\sin{\theta} – g \,t_{2} \\ &=-v_{0}\sin{\theta} \end{aligned}\] より, \[\begin{aligned} v_{2} &= \sqrt{ \left( v_{x}(t_{2}) \right)^2 + \left( v_{y}(t_{2}) \right)^2 } \\ &= \sqrt{ \left( v_{0}\cos{\theta} \right)^2 + \left( -v_{0}\sin{\theta} \right)^2 } \\ &= v_{0} \quad . \end{aligned}\]

また, \[\begin{aligned} L &= x(t_{2}) \\ &= v_{0} \cos{\theta}\,t_{2} \\ &=v_{0} \cos{\theta}\cdot \frac{2v_{0}\sin{\theta}}{g} \\ &= \frac{v_{0}^{2}\sin{2\theta}}{g} \quad \left( \because \ 2\sin{\theta}\cos{\theta} = \sin{2\theta}\right) \end{aligned}\]

角度 \( \theta \) は \( 0^{\circ} < \theta < 90^{\circ} \) より, \( 0^{\circ} < 2\theta < 180^{\circ} \) である. \( L \) を \( \theta \) の関数とみなし, その最大値を極値からもとめる. \[\begin{aligned} & \frac{dL}{d\theta} =2\frac{v_{0}^{2}}{g}\cos{2\theta} = 0 \quad \left( \because \ \frac{d\sin{a\theta}}{d\theta} = a\cos{a\theta}\right) \\ &\cos{2\theta} = 0 \\ \to \ & \theta = 45^{\circ} \end{aligned}\]

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