クーロン力による単振動

クーロン力による単振動

下図に示すように, \( x \) 軸および \( y \) 軸を設定し, \( x \) 軸上の点 \( A\left(-L,0\right) \) , \( B\left(L,0\right) \) の2箇所に正の電荷 \( Q(>0) \) を固定した. さらに, \( y \) 軸上の点 \( P\left(0,l\right) \) に負の電荷 \( -q \, ( q>0) \) を持つ質量 \( m \) の小物体を置いた.

このとき, 次の問に答えよ. ただしクーロン定数を \( k \) とする.

小物体を点 \( P \) に固定した時に小物体が受けるクーロン力の大きさとその方向を求めよ.

\( l \) は \( L \) に比べて十分に小さく, \( \frac{l^2}{L^2} \approx 0 \) という近似が成立しているとする. このような仮定のもとで点 \( P \) で固定されていた小物体の固定を静かに外すと, 小物体は単振動を行なった.

単振動の周期 \( T \) を求めよ.

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距離 \( r \) だけ離れた電荷 \( Q_{1} \) , \( Q_{2} \) の物体間に働くクーロン力 \( \boldsymbol{F} \) の大きさ \( F \) は \[F = k\frac{Q_{1}Q_{2}}{r^2} \notag \] であり, 電荷が同符号ならば斥力, 同符号ならば引力となるのであった.

点 \( A \) の電荷が点 \( P \) の電荷に加えるクーロン力 \( \boldsymbol{F}_{A} \)の大きさ \( F_{A} \) は, 線分 \( AP \) の長さ \( r \) は三平方の定理により, \[r^2 = L^2 + l^2 \notag \] を満たしていることに注意すると, \[\begin{aligned} F_{A} &= k\frac{qQ}{r^2} \\ &= k\frac{qQ}{L^2 + l^2 } \quad . \end{aligned}\]

点 \( B \) の電荷が点 \( P \) の電荷に加えるクーロン力 \( \boldsymbol{F}_{B} \) の大きさ \( F_{B} \) も同様に, \[F_{B} = k\frac{qQ}{L^2 + l^2 } \notag \] であり, \( F_{A}=F_{B} \) が成立している.

\( \boldsymbol{F}_{A} \) の方向は点 \( P \) から点 \( A \) へ向かう方向であり, ベクトル \( \left( -L, -l\right) \) に平行である. 下図に示すとおり, このベクトルが \( y \) 軸と成す角を \( \theta \) とすると, \[\left\{ \begin{aligned} \sin{\theta} &= \frac{L}{\sqrt{L^2+l^2}} \\ \cos{\theta} &= \frac{l}{\sqrt{L^2+l^2}} \end{aligned} \right.\] で与えられる.

したがって, クーロン力 \( \boldsymbol{F}_{A} \) は \[\begin{aligned} \boldsymbol{F}_{A} &= \left( -F_{A} \sin{\theta}, – F_{A} \cos{\theta} \right) \\ &= \left( -k\frac{qQ}{L^2 + l^2 } \cdot \frac{L}{\sqrt{L^2+l^2}} , – k\frac{qQ}{L^2 + l^2 } \cdot \frac{l}{\sqrt{L^2+l^2}} \right) \\ &= \left( -k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}L , -k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l \right) \end{aligned}\] で与えられる.

全く同様にして, クーロン力 \( \boldsymbol{F}_{B} \) は \( x \) 軸方向についてのみ対称であることから, \[\boldsymbol{F}_{B} = \left( k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}L , -k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l \right) \quad . \notag \]

以上より, 小物体に働く合力 \( \boldsymbol{F} \) は \[\begin{aligned} \boldsymbol{F} &= \boldsymbol{F}_{A} + \boldsymbol{F}_{B} \\ &= \left( -k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}L , -k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l \right) + \left( k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}L , -k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l \right) \\ &= \left( 0 , -2k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l \right)\end{aligned}\] であり, 小物体に働く力の大きさは \( \displaystyle{ 2k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l } \) で, その方向は \( y \) 軸方向下向きである.

近似式 \[\frac{l^2}{L^2} \approx 0 \notag \] を用いると, 小物体に働く力 \( \boldsymbol{F} \)は \[\begin{aligned} \boldsymbol{F} &= \left( 0 , -2k\frac{qQ}{\left(L^2 + l^2 \right)^{\frac{3}{2}}}l \right) \\ &= \left( 0 , -2k\frac{qQ}{\left\{L^2 \left(1 + \frac{l^2}{L^2} \right)\right\}^{\frac{3}{2}}}l \right) \\ &\approx \left( 0 , -2k\frac{qQ}{L^3}l \right) \\\end{aligned}\] となり, 点 \( P \) の \( y \) 座標に比例する力とみなすことができる.

したがって, 点 \( P \) から静かに手を離したのち, 点 \( \left( 0, y \right) \) に存在する小物体に働くクーロン力は \[\boldsymbol{F} \approx \left( 0 , -2k\frac{qQ}{L^3}y \right) \notag \] となる. 小物体の \( y \) 軸方向の加速度を \( a_{y} \) とすると, \( y \) 軸方向の運動方程式は \[ma_{y} = -2k\frac{qQ}{L^3}y \notag \] と表すことができる. これは \( \omega \) を \[\omega^2 \mathrel{\mathop:}= 2k\frac{qQ}{mL^3} \notag \] で定義すると, \[a_{y} = -2k\frac{qQ}{mL^3}y = – \omega^2 y \notag \] であり, 角振動数 \( \omega \) の単振動を行うことが分かる.

したがって, この小物体の運動の周期 \( T \) は \[T = \frac{2\pi}{\omega} = 2 \pi \sqrt{\frac{mL^3}{2kqQ} } \notag \] であることがわかる.

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