燃料噴射によるロケット推進のモデル

燃料噴射によるロケット推進のモデル

ロケット本体と燃料部とをあわせた全質量が \( M \) のロケットが宇宙空間で静止していたとする.

このロケットの燃料部の質量は \( m \, \left( < M \right) \) であり, この燃料部は \( n \,\left( > 0 \right) \) 分割されている.

このロケットは, \( n \) 分割された質量 \( \displaystyle{\frac{m}{n}} \) の燃料部を, ロケット本体と残りの燃料部からみて速さ \( u \) で後方へと噴射して推進力をえる.

このとき, 次の問に答えよ.

1番目の分割された燃料部(質量 \( \displaystyle{\frac{m}{n}} \) )を噴射したときのロケット本体と残りの燃料部をロケット外部の慣性系からみた速度を \( V_{1} \) とする. 燃料噴射前後の運動量保存則を立式し, 次のような形で答えよ. \[V_{1} – \bbox[5px,border:2px solid black]{\phantom{aaa}} = \bbox[5px,border:2px solid black]{\phantom{aaa}}\, u \quad . \notag\]

続いて, 2番目の分割された燃料部(質量 \( \displaystyle{\frac{m}{n}} \) )を噴射したときのロケット本体と残りの燃料部をロケット外部の慣性系からみた速度を \( V_{2} \) とする. 燃料噴射前後の運動量保存則を立式し, 次のような形で答えよ. \[V_{2} – V_{1} = \bbox[5px,border:2px solid black]{\phantom{aaa}} \, u \quad . \notag\]

上記の操作を繰り返し, \( k \) 番目の分割された燃料部(質量 \( \displaystyle{\frac{m}{n}} \) )を噴射したときのロケット本体と残りの燃料部をロケット外部の慣性系からみた速度を \( V_{k} \) とする. 燃料噴射前後の運動量保存則を立式し, 次のような形で答えよ. \[V_{k} – V_{k-1} = \bbox[5px,border:2px solid black]{\phantom{aaa}}\, u \quad . \notag \]

さいごの, \( n \) 番目の分割された燃料部(質量 \( \displaystyle{\frac{m}{n}} \) )を噴射したときのロケット本体の速度を \( V_{n} \) とする. \( V_{n} \) を次のような形で \( V_{k} \) を用いずに答えよ. \[V_{n} = \sum_{k=1}^{n} \bbox[5px,border:2px solid black]{\phantom{aaa}}\, u \quad . \notag \]

前問で得られた \( V_{n} \) に対して, \( n \to \infty \) という極限を適用した時の速度 \( \displaystyle{ V \mathrel{\mathop:} = \lim_{n \to \infty } V_{n} } \) を \( n \), \( m \), \( u \) を用いて求めよ. 必要であれば, 区分求積 \[ \lim_{n \to \infty } \sum_{k=1}^{n} f\left( \frac{k}{n} \right) \frac{b-a}{n} = \int_{a}^{b} f(x)\,dx \notag \] を用いてよい.

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1番目の燃料噴射後のロケット(質量 \( \displaystyle{ \left( M-\frac{m}{n} \right) } \) )の速度は \( V_{1} \) . 燃料噴射前はロケットは静止していたことから, 噴射された燃料部(質量 \( \displaystyle{m}{n} \) )の速度は \( \left( 0-u \right) \) である. 運動量保存則より, \[\begin{aligned} & \left( M – \frac{m}{n} \right) V_{1} + \frac{m}{n} \left( -u \right) = 0 \\ & \to \ V_{1} – 0 = \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{m}{n} } u \quad . \end{aligned}\]

2番目の燃料噴射後のロケット(質量 \( \displaystyle{ \left( M-\frac{2m}{n} \right) } \) )の速度は \( V_{2} \) . 燃料噴射前のロケット(質量 \( \displaystyle{ \left( M-\frac{m}{n} \right) } \) )の速度は \( V_{1} \) であったことから, 噴射された燃料部(質量 \( \displaystyle{ \frac{m}{n} } \) )の速度は \( \left( V_{1}-u \right) \) である. 運動量保存則より, \[\begin{aligned} & \left( M – \frac{2m}{n} \right) V_{2} + \frac{m}{n} \left( V_{1} – u \right) = \left( M – \frac{m}{n} \right) V_{1} \\ & \to \ \left( M – \frac{2m}{n} \right) V_{2} – \left( M – \frac{2m}{n} \right) V_{1} = \frac{m}{n} u \\ & \to \ V_{2} – V_{1} = \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{2m}{n} } u \quad . \end{aligned}\]

前問までの立式を一般化させるだけである. \( k \) 番目の燃料噴射後のロケット(質量 \( \displaystyle{ \left( M-\frac{km}{n} \right) } \) )の速度は \( V_{k} \) . 燃料噴射前のロケット(質量 \( \displaystyle{ \left( M-\frac{\left(k-1\right)m}{n} \right) } \) )の速度は \( V_{k-1} \) であったことから, 噴射された燃料部(質量 \( \displaystyle{ \frac{m}{n} } \) )の速度は \( \left( V_{k-1}-u \right) \) である. 運動量保存則より, \[\begin{aligned} & \left( M – \frac{km}{n} \right) V_{k} + \frac{m}{n} \left( V_{k-1} – u \right) = \left( M – \frac{\left(k-1\right)m}{n} \right) V_{k-1} \\ & \to \ \left( M – \frac{km}{n} \right) V_{k} – \left( M – \frac{km}{n} \right) V_{k-1} = \frac{m}{n} u \\ & \to \ V_{k} – V_{k-1} = \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{km}{n} } u \end{aligned}\]

\( V_{k} – V_{k-1} \) がすでにわかっているので, \( k \) の値を \( n \) まで変化させつつ和をとることで \( V_{1} \sim V_{n-1} \) まではキャンセルされることになる. \[\begin{aligned} V_{1} &= \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{km}{n} } u \\ V_{2} – V_{1} &= \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{2m}{n} } u \\ V_{3} – V_{2} &= \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{3m}{n} } u \\ \cdots \ &= \cdots \\ V_{k} – V_{k-1} &= \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{km}{n} } u \\ \cdots \ &= \cdots \\ \left. + \right) \ V_{n} – V_{n-1} &= \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{nm}{n} } u \\ \hline V_{n} &= \sum_{k=1}^{n} \frac{ \frac{m}{n} }{ M – \frac{k}{n} m } u \end{aligned}\]

前問の結果に対して \( n \to \infty \) という極限をとり, 区分求積法を適用する. \[\begin{aligned} V &= \lim_{n \to \infty} V_{n} \\ &= \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{n} \frac{ m }{ M – \frac{k}{n} m } u \\ &= \int_{0}^{1} \frac{ m }{ M – mx } u \\ &= – \left[ \log{ \left( M – mx \right) } \right]_{0}^{1} u \\ &= u \, \log{ \left( \frac{ M }{ M – m } \right) } \end{aligned}\]

最後に少しだけ補足をしておこう. 燃料部の分割数および噴射数 \( n \) を \( n \to \infty \) という極限を考えることは, 流体のような燃料を連続的に噴射することと対応している. したがって, この問題は流体燃料を噴射して推進力を得るロケットの問題を, 時間情報を含まない形でモデル化した問題である.

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