\( \Delta \) 接続と \( Y \) 接続および \( \Delta \) – \( Y \) 変換

3つの抵抗素子を組み合わせて出来る接続方法として, \( \Delta \) (デルタ)接続と呼ばれるものと \( Y \) (ワイ)接続と呼ばれるものを紹介する. そして, これらが互いに相互変換可能なことについて議論しよう.( \( \Delta \) – \( Y \) 変換)

ここでは直流回路の場合を例に2つの接続方法の相互変換を導くことを目的とする. しかし, 工学部系分野に進学予定の人や高専生などにとってはより深い議論を交流回路と組み合わせて行うことになることを補足しておこう.

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\( \Delta \) 接続と \( Y \) 接続
\( \Delta \) – \( Y \) 変換
\( \Delta \) – \( Y \) 変換の証明


\( \Delta \) 接続と \( Y \) 接続

3つの抵抗素子を組み合わせた \( \Delta \) (デルタ)接続あるいは環状接続と呼ばれる接続方法があり, 下図左に示したようなものである.

3つの抵抗素子を組み合わせた \( Y \) (ワイ)接続あるいはスター接続と呼ばれる接続方法があり, 下図右に示したようなものである.

例えば下図のような回路中に \( \Delta \) 接続や \( Y \) 接続が含まれていることが確認できる.

\( \Delta \) – \( Y \) 変換

\( \Delta \) 接続と \( Y \) 接続を同時に紹介したのは理由がある. じつは, \( \Delta \) 接続と \( Y \) 接続は相互に変換が可能であるという特徴を持っているのである.

下図はその相互関係をまとめたものであり, これから示すものでもある.

この対応関係は抵抗が既知の \( \Delta \) 接続を \( Y \) 接続に変換するとき, もしくはその逆に, 抵抗が既知の \( Y \) 接続を \( \Delta \) 接続に変換するときにもちいることになる.

このような \( \Delta \) 接続と \( Y \) 接続との相互変換を一般に \( \Delta \) – \( Y \) 変換または \( Y \) – \( \Delta \) 変換という[1].

回路中のある領域を別の回路に置き換えても領域外部からは違いが認識できないような置き換えが可能であるとき, 置き換えられた回路を等価回路という.

例えば, 下図左に示すような抵抗 \( R \) の抵抗素子を含んだ回路において, 端子 \( a \) と端子 \( b \) との間の電圧降下 \( V_{ab} \) を計算しよう. 端子 \( a \) から流れ出る電流を \( I \) とすると, \[V_{ab} = R I \notag\] と計算することが出来る.

上図において, 抵抗 \( R \) を含んだ領域を抵抗 \( 2R \) の抵抗素子2つが並列接続された回路に置き換えたものを考えてみよう. この領域の合成抵抗は \[\frac{1}{\frac{1}{2R}+\frac{1}{2R}} = R \notag\] であり, 合成抵抗の大きさは元の場合と変わっておらず, \( ab \) 間の電圧降下 \( V_{ab} \) も \( RI \) と変わらない.

したがって, 抵抗 \( R \) の抵抗素子と抵抗 \( 2R \) の抵抗素子が2個並列接続されたものは等価な回路であり, 一方が他方の等価回路ということになる.

\( \Delta \) – \( Y \) 変換の証明

下図左に示したような, 端子 \( a \) , \( b \) , \( c \) が \( \Delta \) 接続で結ばれている回路と等価な \( Y \) 接続がどのようなものか考えよう.

ここで, 端子 \( a \) , \( b \) , \( c \) からは電流 \( I_{1} \) , \( I_{2} \) , \( I_{3} \) が \( \Delta \) 接続または \( Y \) 接続の中央部に向けて流れているとする.

\( \Delta \) 接続において, 端子 \( a \) から端子 \( b \) , 端子 \( b \) から端子 \( c \) , 端子 \( c \) から端子 \( a \) へと向かう枝路を流れる電流をそれぞれ \( I_{12} \) , \( I_{23} \) , \( I_{31} \) とすると, キルヒホッフの第1法則により次式を得る. \[\begin{equation} \left\{ \begin{aligned} I_{1} &= I_{12} – I_{31} \\ I_{2} &= I_{23} – I_{12} \\ I_{3} &= I_{31} – I_{23} \end{aligned} \right. \label{DeltaYTransDeltaI} \end{equation}\] \( \Delta \) 接続の枝路上の電流 \( I_{12} \) , \( I_{23} \) , \( I_{31} \) が通る抵抗をそれぞれ \( R_{12} \) , \( R_{23} \) , \( R_{31} \) とする. すると, 端子 \( a \) から端子 \( b \) , 端子 \( b \) から端子 \( c \) , 端子 \( c \) から端子 \( a \) への電圧降下 \( V_{12} \) , \( V_{23} \) , \( V_{31} \) は \[\begin{equation} \left\{ \begin{aligned} V_{12} &= R_{12}I_{12} \\ V_{23} &= R_{23}I_{23} \\ V_{31} &= R_{31}I_{31} \end{aligned} \right. \label{DeltaYTransDeltaV} \end{equation}\] となる.

さらに, \( \Delta \) 接続をぐるりと回る閉回路に対してキルヒホッフの第2法則を適用すると次式を得る. \[V_{12} + V_{23} + V_{31} = 0 \quad . \label{DeltaYTransDeltaKCV}\]


続いて, \( \Delta \) 接続を \( Y \) 接続に置き換えた回路において, 端子 \( a \) , 端子 \( b \) , 端子 \( c \) から \( Y \) 接続中央部へと向かう枝路上の抵抗をそれぞれ \( R_{1} \) , \( R_{2} \) , \( R_{3} \) とする.

このとき, 端子 \( a \) から端子 \( b \) , 端子 \( b \) から端子 \( c \) , 端子 \( c \) から端子 \( a \) への電圧降下 \( V_{12} \) , \( V_{23} \) , \( V_{31} \) は \[\begin{equation} \left\{ \begin{aligned} V_{12} &= R_{1}I_{1} – R_{2}I_{2} \\ V_{23} &= R_{2}I_{2} – R_{3}I_{3} \\ V_{31} &= R_{3}I_{3} – R_{1}I_{1} \end{aligned} \right. \label{DeltaYTransYV} \end{equation}\] となる.

さらに, \( Y \) 接続中央部の節点に対してキルヒホッフの第1法則を適用すると次式を得る. \[I_{1} + I_{2} + I_{3} = 0 \quad . \label{DeltaYTransYKCL}\] 以上で, \( \Delta \) – \( Y \) 変換の計算に必要な道具は全て揃ったので, 式\eqref{DeltaYTransDeltaI} \( \sim \) \eqref{DeltaYTransYKCL}を組み合わせることで \( \Delta \) 接続における \( R_{12} \) , \( R_{23} \) , \( R_{31} \) とそれに等価な \( Y \) 接続における \( R_{1} \) , \( R_{2} \) , \( R_{3} \) との関係 – \( \Delta \) – \( Y \) 変換 – を導き出そう.

\( Y \) 接続から \( \Delta \) 接続への変換

\( \Delta \) 接続の式\eqref{DeltaYTransDeltaI}から式\eqref{DeltaYTransDeltaKCV}を \( I_{1} \) , \( I_{2} \) , \( I_{3} \) について解くと, \[ \begin{equation} \left\{ \begin{aligned} I_{1} &= \frac{V_{12}}{R_{12}} – \frac{V_{31}}{R_{31}} \\ I_{2} &= \frac{V_{23}}{R_{23}} – \frac{V_{12}}{R_{12}} \\ I_{3} &= \frac{V_{31}}{R_{31}} – \frac{V_{23}}{R_{23}} \end{aligned} \right. \label{DeltaYTransI1} \end{equation} \] が得られる. 続いて \( Y \) 接続の式\eqref{DeltaYTransYV}と式\eqref{DeltaYTransYKCL}を \( I_{1} \) , \( I_{2} \) , \( I_{3} \) について解くと, \[\begin{equation} \left\{ \begin{aligned} I_{1} &= \frac{R_{3}V_{12}-R_{2}V_{31}}{R_{1}R_{2}+R_{2}R_{3}+R_{3}R_{1}} \\ I_{2} &= \frac{R_{1}V_{23}-R_{3}V_{12}}{R_{2}R_{3}+R_{3}R_{1}+R_{1}R_{2}} \\ I_{3} &= \frac{R_{2}V_{31}-R_{1}V_{23}}{R_{3}R_{1}+R_{1}R_{2}+R_{2}R_{3}} \end{aligned} \right. \label{DeltaYTransI2} \end{equation}\] が得られる.

したがって, \( \Delta \) 接続(式\eqref{DeltaYTransI1})と \( Y \) 接続(式\eqref{DeltaYTransI2})が等価である条件は, 式\eqref{DeltaYTransI1}と式\eqref{DeltaYTransI2}の係数比較を行うことで, \[\left\{ \begin{aligned} \frac{1}{R_{12}} &= \frac{R_{3}}{R_{1}R_{2}+R_{2}R_{3}+R_{3}R_{1}} \\ \frac{1}{R_{31}} &= \frac{R_{2}}{R_{1}R_{2}+R_{2}R_{3}+R_{3}R_{1}} \\ \frac{1}{R_{23}} &= \frac{R_{1}}{R_{1}R_{2}+R_{2}R_{3}+R_{3}R_{1}} \end{aligned} \right.\] が成立していることだとわかる.

この式は \( R_{1} \) , \( R_{2} \) , \( R_{3} \) が与えられた \( Y \) 接続を \( R_{12} \) , \( R_{23} \) , \( R_{31} \) を持つ \( \Delta \) 接続に変換する公式となっている.

とくに, \( Y \) 接続の抵抗が全て等しく \( R=R_{1}=R_{2}=R_{3} \) である場合, 等価な \( \Delta \) 接続の抵抗は \[R_{12}=R_{23}=R_{31}=3R \notag \] となる.

\( \Delta \) 接続から \( Y \) 接続への変換

\( \Delta \) 接続の式\eqref{DeltaYTransI1}と式\eqref{DeltaYTransDeltaKCV}を \( V_{12} \) , \( V_{23} \) , \( V_{31} \) について解くと, \[\begin{equation} \left\{ \begin{aligned} V_{12} &= \frac{R_{12}R_{31}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}}I_{1} – \frac{R_{12}R_{23}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}}I_{2} \\ V_{23} &= \frac{R_{23}R_{12}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}}I_{2} – \frac{R_{23}R_{31}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}}I_{3} \\ V_{31} &= \frac{R_{31}R_{23}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}}I_{3} – \frac{R_{31}R_{12}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}}I_{1} \end{aligned} \right. \label{DeltaYTransV1} \end{equation}\] が得られる.

この式を \( Y \) 接続の式\eqref{DeltaYTransYV}と係数比較を行うことで, \( \Delta \) 接続(式\eqref{DeltaYTransV1})と \( Y \) 接続(式\eqref{DeltaYTransYV})が等価である条件は, \[\left\{ \begin{aligned} R_{1} &= \frac{R_{12}R_{31}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}} \\ R_{2} &= \frac{R_{23}R_{12}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}} \\ R_{3} &= \frac{R_{31}R_{23}}{R_{12}+R_{23}+R_{31}} \end{aligned} \right.\] が成立していることだとわかる.

この式は \( R_{12} \) , \( R_{23} \) , \( R_{31} \) が与えられた \( \Delta \) 接続を \( R_{1} \) , \( R_{2} \) , \( R_{3} \) を持つ \( Y \) 接続に変換する公式となっている.

とくに, \( \Delta \) 接続の抵抗が全て等しく \( R=R_{12}=R_{23}=R_{13} \) である場合, 等価な \( Y \) 接続の抵抗は \[R_{1}=R_{2}=R_{3}=\frac{R}{3} \notag \] となる.

\( \Delta \) – \( Y \) 変換

\( \Delta \) 接続もしくは \( Y \) 接続は \( \Delta \) – \( Y \) 変換によって等価な\( Y \) 接続もしくは \( \Delta \) 接続に置き換えることができる.

最終更新日
テレゲンの定理と電力保存則 磁場に関するガウスの法則



補足    (↵ 本文へ)
  1. 書籍によっては, \( \Delta \) 接続を等価な \( Y \) 接続へと変換することを \( \Delta \) – \( Y \) 変換, \( Y \) 接続を等価な \( \Delta \) 接続へと変換する \( \Delta \) – \( Y \) 変換と呼ぶなど区別していることもある.

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