電位

 力学では運動方程式を微小位置(=速度と微小時間の積)で積分することで仕事やエネルギーを導入した. これは電磁気学に登場する力についても全く同様に成立する.

ここでは電気力がする仕事の計算方法を紹介したあとで, 電荷にとっての電気的な位置エネルギーに相当する電位とその具体的な計算について議論する.

ここで登場する新たな数学的手法に線積分と呼ばれるものがある. しかし, 高校物理程度で登場する電磁気学では線積分が非常に簡単な, つまり普通の意味での積分に置き換えることが容易な場合のみを取り扱うことになる.

また, 後半ではガウスの法則で計算した結果を用いるので, ガウスの法則がまだ習得できていない人は是非ガウスの法則を復習した上で計算をみていただきたい.

スポンサーリンク

電気力のする仕事
電位と電位差
電位の重ね合わせ
電位 : 点電荷
電位 : 帯電球
電位 : 無限に長い直線
電場と電位の微積関係


電気力のする仕事

電荷 \(q\) を帯びた物体が(合成)電場 \( \boldsymbol{E}\) から受ける電気力は, \[ \boldsymbol{F} = q\boldsymbol{E} \] であった. したがって, 電荷の質量が \(m\) である場合に電気力以外の合力を \( \boldsymbol{F}_{\mathrm{other}}\) とすると, 運動方程式は \[ m \frac{d^2 \boldsymbol{r} }{dt^2} = q \boldsymbol{E} + \boldsymbol{F}_{\mathrm{other}} \] となる. 力学で学んだように, 運動方程式の両辺に \( \displaystyle{ \boldsymbol{v} = \frac{d\boldsymbol{r}}{dt} }\) をかけて微小時間 \(dt\) で積分をする( \( \displaystyle{ \frac{d\boldsymbol{r}}{dt}dt=d\boldsymbol{r}} \) で積分する)ことで, エネルギーや仕事を定義したのであった. 電気力についても同様にして電気力による仕事やエネルギーを定義することができる.

電気力による仕事を考えるために, 電場が存在している空間で電気力 \( \boldsymbol{F}\) を受けている物体(電荷 \(q\) )を位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) から \( \boldsymbol{r}_{B}\) までとある経路 \(C\) を通って移動することを考えよう.

非常に小さい間隔である位置 \( \boldsymbol{r}_{i}\) から \( \boldsymbol{r}_{i+1}\) へ微小変位 \(d\boldsymbol{l}\) だけ電荷を移動させる. この間, 電場 \( \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})\) は一定とみなすことができるので電荷は電場から \( \boldsymbol{F} = q \boldsymbol{E} \) の力を受けていることになる. この電荷に対して \( \left| \boldsymbol{F} \right|\) にほぼ等しく, 逆向きの力 \( \boldsymbol{F}_{\mathrm{ex}}\) を加えてながら非常にゆっくりと動かす間に電気力 \( \boldsymbol{F} \) によってなされる微小な仕事 \(dW(\boldsymbol{r})\)\[ \begin{aligned} dW(\boldsymbol{r}) &= \boldsymbol{F}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \\ &= q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \end{aligned} \] となる. したがって, 位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) から \( \boldsymbol{r}_{B}\) まで経路 \(C\) を通って移動する間に電気力がなす仕事は \[ \begin{aligned} W_{A \to B} &= \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{B}} \ dW(\boldsymbol{r}) \\ &=\int_{\boldsymbol{r}_{A},C}^{\boldsymbol{r}_{B}} q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \end{aligned} \] となる. ここで \( \displaystyle{\int_{\boldsymbol{r}_{A},C}^{\boldsymbol{r}_{B}}}\) は経路 \(C\) にそって \( \boldsymbol{r}_{A}\) から \( \boldsymbol{r}_B\) へ移動しながら積分を実行することを意味しており, 経路 \(C\) に沿った線積分という.

線積分では積分を実行する経路ごとに積分結果が異なるのが一般的である. ところが, 静電気力の場合には線積分がその経路によらず, 始点と終点のみに依存することを示すことができる[1]. これは重力によってなされる仕事の値がその経路に依存せずに物体の始めの高さと終わりの高さにのみ依存したことと全く同じ事情である. したがって, 力学において重力が保存力であったように, 電磁気学においてクーロン力は保存力の一種である[2].

なお, 以下では静電場での議論のみをおこなうので, 線積分の積分結果が経路に依らない. したがって, \( \displaystyle{\int_{\boldsymbol{r}_{A},C}^{\boldsymbol{r}_{B}}}\) は単に \( \displaystyle{\int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{B}}}\) と書くことにする. また具体的な計算を行う時には積分計算が最も単純になるような経路を示して積分することにするが, 基本的に電場に沿った直線上で行うことがほとんどである.

電気力のする仕事と線積分

位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) から \( \boldsymbol{r}_{B}\) まで経路 \(C\) を通って移動する間に電気力がなす仕事は次式である. \[ W_{A \to B} =\int_{\boldsymbol{r}_{A},C}^{\boldsymbol{r}_{B}} q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \] ここで \( \displaystyle{\int_{\boldsymbol{r}_{A},C}^{\boldsymbol{r}_{B}}}\) は経路 \(C\) にそって \( \boldsymbol{r}_{A}\) から \( \boldsymbol{r}_B\) へ移動しながら積分を実行する線積分である.

静電気力(クーロン力)は線積分が経路に依存せずに, 始点と終点のみで決まる保存力である.

電位

電位と電位差

電場内において試験電荷(電荷 \(q = 1 \ [\mathrm{C}]\) )を位置 \( \boldsymbol{r}_P\) から基準点 \( \boldsymbol{r}_{0}\) まで動かす間に電気力がした仕事を電位といい, \[ \phi (\boldsymbol{r}_{P}) = \int_{\boldsymbol{r}_{P}}^{\boldsymbol{r}_{0}} \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{l} \] と定義する. また, この定義式を \[ \phi (\boldsymbol{r}_{P}) = \int_{\boldsymbol{r}_{0}}^{\boldsymbol{r}_{P}} \left( – \boldsymbol{E} \right) \cdot d\boldsymbol{l} \] と書けば, 試験電荷が受ける電気力 \( \boldsymbol{F} = 1 \cdot \boldsymbol{E}\) と逆向きの外力 \[ \boldsymbol{F}_{\mathrm{ex}} =- \boldsymbol{F} =- \boldsymbol{E} \] を加えて基準点 \( \boldsymbol{r}_{0}\) から位置 \( \boldsymbol{r}_{P}\) まで移動させる間ために必要な仕事をあらわしていることがわかる. つまり, 電位とは試験電荷が基準点からある点まで運ばれる時に電荷が獲得する位置エネルギーを意味している.

ここで, 電位を計算する時に電場(ベクトル)と微小変位(ベクトル)の内積を計算していることから電位はスカラー量であることに注意してほしい. したがって, 電位は向きという概念を持っていない. これは力学で言えば位置エネルギーが向きを持っていないことと全く同じである.

位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) から位置 \( \boldsymbol{r}_{B}\) まで電荷 \(q\) を動かす間に電気力がした仕事 \(W_{A \to B}\) は, \[ \begin{aligned} W_{A \to B} &= \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{B}} q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \\ &= \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{0}} q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} + \int_{\boldsymbol{r}_{0}}^{\boldsymbol{r}_{B}} q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \\ &= q \left\{ \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{0}} q \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} – \int_{\boldsymbol{r}_{B}}^{\boldsymbol{r}_{0}} \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r}) \cdot d\boldsymbol{l} \right\} \\ &= q ( \phi (\boldsymbol{r}_{A}) – \phi (\boldsymbol{r}_{B})) \end{aligned} \] となり, 位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) における電位 \( \phi(\boldsymbol{r}_{A})\) と位置 \( \boldsymbol{r}_{B}\) における電位 \( \phi(\boldsymbol{r}_{B})\) の差 \( \left(\phi(\boldsymbol{r}_{A}) – \phi(\boldsymbol{r}_{B}) \right)\) で表すことができる. このような二点間の電位の差を電位差といい, \[ V_{AB} = \phi(\boldsymbol{r}_{A})- \phi(\boldsymbol{r}_{B}) \] と定義する. したがって, \[ W_{A \to B} = q V_{AB} \] と表すことができる.

電位差の計算例として, 真空中の原点 \(O\) に置かれた電荷 \(Q\) によって作られる電場 \[ \boldsymbol{E} = \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{\left| \boldsymbol{r} \right|^3}\boldsymbol{r} \] が満ちた空間における電位差を計算してみよう. この場合, 電場 \( \boldsymbol{E}\)\( \boldsymbol{r}\) と平行であることに注意してほしい.

また, 上図に示したようにある位置 \( \boldsymbol{r}\) における微小変位 \(d\boldsymbol{l}\) との内積 \( \boldsymbol{r} \cdot d \boldsymbol{l}\)\( \boldsymbol{r}\) 方向への微小変位 \(dr\)\[ \begin{aligned} \boldsymbol{r} \cdot d\boldsymbol{l} &= r dl \cos{\theta} \\ &= r dr \end{aligned} \] という関係にあることに注意すると, \[ \begin{aligned} V_{AB} &= \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{B}} \boldsymbol{E} \cdot d \boldsymbol{l} \\ &= \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{B}} \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{\left| \boldsymbol{r} \right|^3} \underbrace{\boldsymbol{r} \cdot d\boldsymbol{l}}_{r \ dr} \\ &= \int_{\boldsymbol{r}_{A}}^{\boldsymbol{r}_{B}} \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{r^2} \ dr \\ &= \left[ – \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{r} \right]_{r_{A}}^{r_{B}} \\ &= \frac{Q}{4 \pi \epsilon_{0}} \left[ \frac{1}{r_{A}} – \frac{1}{r_{B}} \right] \end{aligned} \] したがって, 位置 \( \boldsymbol{r}_{B}\) に対する \( \boldsymbol{r}_{A}\) の電位は \[ \begin{aligned} V_{AB} &= \phi_{A} – \phi_{B} \\ &= \frac{Q}{4 \pi \epsilon_{0}} \left[ \frac{1}{r_{A}} – \frac{1}{r_{B}} \right] \end{aligned} \] となる.

電位の重ね合わせ

原点に置かれた点電荷 \(Q\) によって静電場が形成されている時, 位置 \( \boldsymbol{r}\) には電位 \( \phi(\boldsymbol{r})\) が存在することになる. そこで, 電位の基準点 \( \boldsymbol{r}_{0}\)無限遠に選ぶと \( \displaystyle{ \frac{1}{r_0} \to 0}\) となるので, \( \phi(\boldsymbol{r}_0) \to 0\) であることから, \[ \begin{aligned} \int_{\boldsymbol{r}}^{\boldsymbol{r}_{0}} \boldsymbol{E} \cdot d \boldsymbol{l} &= \phi(\boldsymbol{r}) – \phi(\boldsymbol{r}_{0}) \\ &= \frac{Q}{4 \pi \epsilon_{0}} \left[ \frac{1}{r} – \frac{1}{r_0} \right] \\ \to \ \phi(\boldsymbol{r}) &= \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{r} \end{aligned} \] となる. これは電荷 \(Q\) から距離 \(r\) だけ離れた位置における電位が \[ \phi = \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{r} \] であることをあらわしている.

ある位置 \( \boldsymbol{r}\) から距離 \(r_{i}\ ( i = 1 \sim N)\) だけ離れた位置にある電荷 \(Q_{i}\)\( \boldsymbol{r}\) につくる電位について考える. 各電位によって位置 \( \boldsymbol{r}\) に作られる各電場 \( \boldsymbol{E}_{i}\) には重ね合わせの原理が成立し, \[ \begin{aligned} \boldsymbol{E} &= \boldsymbol{E}_{1} + \boldsymbol{E}_{2} + \cdots + \boldsymbol{E}_{N} \\ &= \sum_{i=1}^{N} \boldsymbol{E}_{i} \end{aligned} \] となる. 電位は電場の積分計算であるが和の積分は各項の積分の和にすることができるので電位についても重ね合わせの原理が成立する. \[ \begin{aligned} \phi &= \phi_1 + \phi_2 + \cdots + \phi_N \\ &= \sum_{i=1}^{N} \phi_i \\ \end{aligned} \]

以上の議論により, 各点電荷の作る電位 \( \phi_{i} \) の合成された電位の値は \[ \begin{aligned} \phi &= \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \left[ \frac{Q_1}{r_1} + \frac{Q_2}{r_2} + \cdots + \frac{Q_N}{r_N}\right] \\ &= \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \sum_{i=1}^{N} \frac{Q_i}{r_i} \end{aligned} \] となる.

電位

電場内において試験電荷を位置 \( \boldsymbol{r}\) から基準点 \( \boldsymbol{r}_{0}\) まで動かす間に電気力がした仕事を電位といい次式で定義する. \[ \phi (\boldsymbol{r}) = \int_{\boldsymbol{r}}^{\boldsymbol{r}_{0}} \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{l} \]

位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) における電位 \( \phi(\boldsymbol{r}_{A})\) と位置 \( \boldsymbol{r}_{B}\) における電位 \( \phi(\boldsymbol{r}_{B})\) との差, 電位差 \(V_{AB}\) を次式で定義する. \[ V_{AB} = \phi(\boldsymbol{r}_{A}) – \phi(\boldsymbol{r}_{B}) \]

位置 \( \boldsymbol{r}_{A}\) から \( \boldsymbol{r}_{B}\) へ電荷 \(q \) が移動する間に電気力のした仕事 \(W_{A \to B}\)は, 電位差を用いて次式のようにかける. \[ W_{A \to B } = q V_{AB} \quad . \]

電位に対しても電場と同様に重ね合わせの原理が成立する. \[ \phi= \sum_{i=1}^{N} \phi_i \]

電位 : 点電荷

再度, 点電荷(電荷 \(Q\) )が作る電荷を求めよう. 座標原点に点電荷をおいた時, 点電荷が位置 \( \boldsymbol{r}\) に作る電場はガウスの法則より \[ \boldsymbol{E} = \frac{1}{4 \pi \epsilon_{0}} \frac{Q}{\left| \boldsymbol{r} \right|^3}\boldsymbol{r} \] であった. 位置 \( \boldsymbol{r}_{P}\) における電位 \( \phi(\boldsymbol{r}_{p})\) は試験電荷 \(q=1 \ [\mathrm{C}]\) が位置 \( \boldsymbol{r}_{P}\) から無限遠へ移動する間に電気力がする仕事(試験電荷の電気的な位置エネルギー)であったので, \[ \int_{\boldsymbol{r}_{P}}^{\infty} \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{l} \] である. この積分結果は静電場の場合には積分経路に依存しないので, 計算を簡単にするために \( \boldsymbol{r}_{P}\) から \( \boldsymbol{r}_{P}\) 方向に無限に伸ばした無限遠へ移動する経路を考えよう( \(d\boldsymbol{l}=d\boldsymbol{r}\) ). この場合, 電場 \( \boldsymbol{E}\) と電荷の微小変位ベクトル \(d\boldsymbol{l}\) のなす角 \( \theta\) は常に \( \theta = 0 \) であるので, \[ \begin{aligned} \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{l} &= E \ dl \cos{0} \\ &= E \ dr \end{aligned} \] となる. したがって, \[ \begin{aligned} \int^{\infty}_{\boldsymbol{r}_{P}} \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{r} &= \int_{r_{P}}^{\infty} E \ dr \\ &= \int_{r_{P}}^{\infty} \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{r^2} \ dr \notag \\ &= \left[ – \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{Q}{r}\right]_{r_{P}}^{\infty} \\ &= \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{r_P} \end{aligned} \] \[ \therefore \ \phi(\boldsymbol{r}) = \frac{1}{4 \pi \epsilon_0}\frac{Q}{r} \] と表すことができる[3].

電位 : 帯電球

半径 \(a\) の内部に電荷 \(Q\) が電荷密度 \( \rho \) で一様に帯電している球( \( \displaystyle{ Q = \rho \frac{4\pi}{3}a^3 }\) )による電位を求めよう.

下図にガウスの法則(帯電球)によって求められたことをまとめた.

帯電球の外部

帯電球の外部の位置 \(r > a\) での電場 \( \boldsymbol{E}_{\mathrm{out}}\) は帯電球の総電荷 \(Q\) を持つ点電荷が作る電場と同じであったので, 点電荷の電位計算をそのまま流用することができる. \[ \begin{aligned} \int_{\boldsymbol{r}_{P}}^{\infty} \boldsymbol{E}_{\mathrm{out}} \cdot d\boldsymbol{r} &= \int_{r_{P}}^{\infty} E \ dr \\ &= \int_{r_{P}}^{\infty} \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{r^2} \ dr \notag \\ &= \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{r_P} \end{aligned} \] \[ \therefore \ \phi_{\mathrm{out}}(\boldsymbol{r}) = \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{r} \quad \left( r > a \right) \quad . \]

帯電球の内部

帯電球の内部の位置 \((r < a)\) では, ガウスの法則によりある位置 \( \boldsymbol{r}\) の電場 \( \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})\) は半径が \(r\) より小さい領域に存在する電荷の量に依存し, \[ \begin{aligned} & \therefore \ E_{\mathrm{in}}(\boldsymbol{r}) = \frac{\rho r}{3 \epsilon_0} \\ & \left( \boldsymbol{E}_{\mathrm{in}}(\boldsymbol{r}) = \frac{\rho}{3 \epsilon_0} \boldsymbol{r} \right) \end{aligned} \] となるのであった. さらに電場は \(r=a\) を境にして \( \boldsymbol{E}_{\mathrm{out}}\)\( \boldsymbol{E}_{\mathrm{in}}\) に分かれることに注意すると, \[ \begin{aligned} \int_{\boldsymbol{r}_{P}}^{\infty} \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{r} &= \int_{r_{P}}^{a} E_{\mathrm{in}} \ dr + \int_{a}^{\infty} E_{\mathrm{out}} \ dr \\ &= \int_{r_{P}}^{a} \frac{\rho r }{3 \epsilon_{0}} \ dr + \int_{a}^{\infty} \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{r^2} \ dr \\ &= \left[ \frac{\rho r^2 }{6 \epsilon_{0}} \right]_{r_{P}}^{a} + \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{a} \\ &= \frac{\rho }{6 \epsilon_{0}} \left( a^2 – r_{P}^2 \right) + \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{a} \\ & = \frac{\rho}{6 \epsilon_0} \left( 3 a^2 – r_{P}^2 \right) \end{aligned} \] \[ \therefore \ \phi_{\mathrm{in}}(\boldsymbol{r}) = \frac{\rho}{6 \epsilon_0} \left( 3 a^2 – r^2 \right) \quad \left( r < a \right) \quad . \] 電場の場合と同じく, \(r=a\) において \( \phi_{\mathrm{out}}\)\( \phi_{\mathrm{out}}\) が一致することに注意してほしい. \[ \begin{aligned} \phi_{\mathrm{out}} &= \frac{1}{4\pi \epsilon_0} \frac{Q}{a} = \frac{\rho}{3 \epsilon_0 } a^2 \\ \phi_{\mathrm{in}} &= \frac{\rho}{6 \epsilon_0} \left( 3 a^2 – a^2 \right) = \frac{\rho}{3 \epsilon_0} a^2 \\ \therefore \ \phi_{\mathrm{out}} &= \phi_{\mathrm{inh}} \end{aligned} \]

電位 : 無限に長い直線

無限に長い直線が単位長さあたりに \( \lambda\) (ラムダ)の電荷量をもっている(電荷の線密度が \( \lambda\) )場合に直線から \(r_P\) だけ離れた点での電位について考える. このような直線電流が距離 \(r\) だけ離れた位置に作る電場の大きさはガウスの法則(無限に長い直線)より \[ \begin{aligned} & E = \frac{1}{2 \pi \epsilon_0 } \frac{\lambda}{r} \\ & \left( E = \frac{1}{2 \pi \epsilon_0 } \frac{\lambda}{r^2 } \boldsymbol{r} \right) \end{aligned} \] で与えられるのであった. この場合の電位を考えるが, 電位の基準 \(r_{0}\) を無限遠に選ぶと電位が発散してしまうので, そのような基準は採用しないことにすると[4], \[ \begin{aligned} \int_{ \boldsymbol{r}_{P} }^{ \boldsymbol{r}_{0} } \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{r} &= \int_{r_{P}}^{r_{0}} E \ dr \\ &= \int_{r_{P}}^{r_{0}} \frac{1}{2 \pi \epsilon_0 } \frac{\lambda}{r}\ dr \\ &= \left[ \frac{\lambda}{2 \pi \epsilon_0 } \log{r} \right]_{r_{P}}^{r_{0}} \\ &= \frac{\lambda}{2 \pi \epsilon_0 } \log{ \left( \frac{r_0}{r_P} \right) } \end{aligned} \] \[ \therefore \ \phi(r)= \frac{\lambda}{2 \pi \epsilon_0 } \log{ \left( \frac{r_0}{r} \right) } \]

電場と電位の微積関係

電場と電位の関係を \(r\) 軸という一次元の場合について議論する.

位置 \(r\) における電場の大きさが \(E(r)\) であるとき, 電位は基準点を \(r_{0}\) に決めると, \[ \phi(r) = \int_{r}^{r_{0}} E(r') \ dr' \] である. ここで電位を \(r\) で微分すると, 次式が成立する. \[ \begin{aligned} \frac{d}{dr} \phi(r) &= \frac{d}{dr} \int^{r_{0}}_{r} E(r') \ dr' \\ &=- \frac{d}{dr} \int_{r_{0}}^{r} E(r') \ dr' \\ &=- E(r) \end{aligned} \] \[ \therefore \ E(r) =- \frac{d}{dr} \phi(r) \quad . \] したがって, 電位の大きさがわかればあとは微分(して符号を反転する)だけで電場を求めることができる. この計算は大学以上では \(r\) 軸方向だけでなく3次元的に扱うことになる.

電場と電位の微積関係

\(r\) 軸に沿った電場 \(E(r)\) と電位 \( \phi(r)\) は次式の関係にある. \[ E(r) =- \frac{d \phi(r)}{dr} \]

最終更新日
ガウスの法則 静電気力とエネルギー保存則



補足    (↵ 本文へ)
  1. 証明は別途与える. 準備中.

  2. 保存力とは異なり線積分の値が経路に依存するような力の代表格は摩擦力であった.

  3. 数学が気になる人のために補足しておく. ここで \( \displaystyle{ \int_{r_{P}}^{\infty} } \)\( \displaystyle{\lim_{r_{0} \to \infty }\int^{r_0}_{r_P}}\) を省略したものである. このように積分区間が有限に収まらない場合や関数が有界でない場合のために定積分の概念を拡張したものを広義積分という.

    大学以上の数学や物理では広義積分を用いることでベータ関数やガンマ関数と言われる便利な関数を議論することになるので興味がある人は調べてみてほしい.

    いずれにせよ, 数学では関数の有界や範囲の有限無限に非常に敏感になる必要があるが, 物理はそのあたりが緩くても現実の物理現象を十分説明できる(感覚が機能している)のは物理学の魅力の一つであると管理人は考えている.

  4. そもそも電荷を携えた直線が無限の長さがあるので, それらによって作られる電場に逆らって運ぶために必要な仕事の大きさ(=電位の大きさ)が無限大に発散してしまうのである.

スポンサーリンク

この記事をシェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です